★だい37わ:かがいじゅぎょう★
*「きりーつ!、れい!、ちゃくせき!」
ら「はいはーい!、それでは皆さんにとっては初めての、先生にとってはすっご〜ぃ久しぶりの授業を〜はっじめまーす!」
き「(・・・早くも調子狂うんだけど・・・)」
の「(天真爛漫を絵に描いた感じだね)」
き「(それにしても、める姉がオッサンに告白した後に熱出して休むとか、どんだけピュアピュアなんだよ)」
の「(でも、ふたりの想いが通じたのは嬉しいことよね)」
き「(オッサンと言えば、村出ていくって言ったけどいつ発つんだろうな・・・?)」
ら「はい、それはめるちゃんがダウンしちゃったから当分延期なんですね〜!」
き「うわぁ!」
の「先生・・・!ゴメンナサイ!」
ら「んもぉ!せんせ〜ショックだなぁ〜、ちゃんとお話し聞いててほしいんだけどなぁ〜」
き「スンマセン・・・」
の「で、先生、さくらさんが当分延期って――」
ら「ストップ!!、そのお話しはあ・と・で・ネっ!」
き「は、はい!」
ら「では改めて――皆さんもご存知の通り、急ではありますがご家族の都合により、こはきゅちゃんとちゅにんくんは、それぞれここよりちょっと遠い学校に行くことになりました、色々準備とかが忙しいので、残念ながら皆さんに直接お会いすることは出来ません――けれど、ふたりのこと、忘れないであげて下さいね☆」
*「せっかく仲良くなれたのに〜・・・」
*「ちゅにんくんのお菓子、もう1回食べたかったなぁ・・・」
き「(そっか・・・転校したってことになってんのか・・・)」
の「(でも寂しいね、せっかく仲良くなったのにふたり揃っていなくなっちゃうのは――私は正直、まだ実感がない)」
ら「それともう一つ、これは皆さんにとってもっと大事なことになります――自分のことだと思って、よぉく聴いてくださいね」
き「え?」
ゴク・・・
ら「この村では当面は起きないと思いますが、ニュースは皆さんみていますか?、村の外は実は今、あちこちで痛ましい戦争が起きています――それを踏まえた上で、皆さんいづれは中等部に進学しますが、実際にこの星の歴史を学ぶことになっています―――でも、急遽予定変更です!、ここにいる全員が明日からその歴史を学んでもらいます!」
*「え・・・マジかよ・・・?」
*「歴史って言われてもピンと来ないよね・・・?」
*「ここも戦争が起きちまうのか?」
ら「ハイハーイ、皆さん戸惑うのはよぉく分かりますが、何も焦ることはありませんよぉ〜、皆さんには明日から歴史の授業はまるで小説を読んでいるかのようにエピソードを紐解いて頂くだけ!、小説なんて普段読まないぜぇ〜ってコは、ゲーム感覚だと思ってもらってもOKですっ!」
*「ゲーム感覚って言われても・・・ピンとこねぇな」
*「でもちょっと面白そう!」
*「RPGみたいな感じかなぁ?」
ら「ゲーム感覚で歴史も、そして魔法も今よりウンとレベルアップできる授業なんて滅多にないわよぉ〜、それも大人顔負けのレベルになれるってんだからぁ♪」
*「はーい!」
き「(大人顔負け・・・?)」
ら「うんうん!、ではではそゆことで授業に戻りますね、えっと、教科書の104ページから―――――」
※
き「らいむぎ先生!」
ら「あら、きららちゃんにのえるちゃん、おつかされさま♪」
の「さっきの続きです、さくらさんが当分延期って?」
ら「あーそのことね、うんうんっ、さくらちゃんはしもんさんの呪術を受け継いだ後は、遺品整理をした後にもすぐ村を出る覚悟だったらしいけど、めるちゃんの愛のアプローチがあったでしょ〜?、そりゃあ予定も変えるしかないでしょぉ〜♪」
の「そ、そうなんでしょうか?」
ら「それにあの子ってばあの後家に帰った途端魂が抜けちゃったように寝ころんじゃってね〜、すぐさくらちゃん呼んで看病頼んじゃったっ!」
き「え・・・?、おじさんに?」
ら「だから出発は延期!、そもそも考えてごらんなさいよぉ、さくらちゃんがいくら強くなったからと言ってもまだ覚醒仕立てのオギャーちゃん!、もっとしっかりした準備が必要じゃない?」
き「・・・、まぁそれは確かに・・・だけどそんなのんびりでいいのかよ?」
ら「今息精張って村を出たところで彼に何かできると思う〜のえるちゃん?」
の「え、私?――えっと、その・・・」
ら「んふふ〜、それにしても、愛の力てやっぱステキよねぇ〜♪」
き「はぐらかすなよ!・・・ホントは、今すぐにでも何とかしないとマズい状況じゃないのか?」
ら「・・・きららちゃんはどうしてそう思ったの?」
き「じゃなかったらこはきゅもちゅにんもここを離れる必要はなかったはずだ!」
ら「・・・きららちゃんは少し誤解しているのかもしれないわね?」
き「誤解?」
ら「ちゅにんくんに関してはね、偶然火の粉を浴びたようなモンで、ホントは予定調和でも何でもないんだけどねぇ〜」
き「何で急にちゅにんが・・・」
ら「でもこはきゅちゃんは違う――、将来ふぇありぃとらんぷになるべくして生まれてきたと言ってもいい存在なの」
き「なぜ!?――こはきゅがふぇありぃとらんぷになりたくないって言ったとしてもか?」
ら「――ホントはこれからみんなで遠回しにだけど学ぶことになってるの――、今から話すことは予習だと思って聞いてほしいの、いい?」
の「予習?」
ら「そ♪、君たちの疑問に何でもお答えします♪」
き「・・・聞かせてよ・・・こはきゅのこと・・・!」
******
き「・・・そうか、そう言うことだったんだ・・・やっとすべて謎が解けた・・・!」
の「妖精大汚点との戦争って、そんなにヒドかったんですね・・・それに、それが今になっても尾鰭がついてる・・・私たちはずっとこの村で過ごしてきたから、こはきゅちゃんに出会うまで全く気付かなかったし、気にもしなかったわ」
ら「んふふふ、これで次回の定期テストはふたりの成績に期待できちゃうわ〜ん♪」
き「あたしたち、もろこしおじさんに言われたんだ――まずは初等部をきっちり卒業して、中等部に入ったら空いてる時間を見つけておじさん自らあたしたちに魔法を教えてくれるって」
ら「聞いたわよぉ〜、パパにそうとう期待されてるのね、あなたたちはっ」
き「出来ることなら・・・こはきゅとちゅにんを助けてあげられるくらいのレベルになりたい・・・!、みるふぃとも・・・」
の「夕べ、きららとも話しました――、どうか、私たちを本気で鍛えてください・・・!、お願いします!」
ら「ん〜〜、君たちは魔法の習得のことも少し誤解しているのかなぁ〜?」
き「え?」
の「どういうことですか?」
ら「きららちゃんが得意なスポーツは、運動して筋肉をつけて体を柔らかくするのが基礎――で、精神を集中してタイミングや合図を体との波長を合わせて力を発揮する――つまりは己の力第一ってことよね」
き「う、うん」
ら「でも魔法はそうじゃない――、もちろんスポーツの基礎もあるに越したことはないけれど、そもそも私たちが使う魔法ってのは、自分の精神力と自然の力をほんの少しだけ借りてはじめて発動するものなの」
の「自然の力・・・?」
ら「そう、自然の力を借りること、あなたたちが散々授業で手から光を放つ実習をやってきたのも、空を飛ぶ練習をしたのも、それらはすべて自然の力をほんの少しだけ借りた、わたしたち妖精族にだけ与えられた結晶なのよ」
き「そうなんだ・・・!」
ら「だから、鍛えてくださいってのはナンセンス!、それにこれから先魔法を教えるのは私じゃなくてパパの役目よ♪」
******
の「・・・らいむぎ先生の言葉、適格すぎて何も言えなかった・・・」
き「あぁ・・・それと同時に、こうも思った」
の「?」
き「妖精大汚点たちは、自然の力を借りてああいう破壊行動を仕出かしてるのかってな」
の「改めて思うと、ひどい話よね」
き「アイツらのやってることは、自然に喧嘩を売ってる・・・!」
の「星をダメにしてしまってる・・・」
き「それともう一つ」
の「?」
き「らいむぎ先生ももろこし主人もなぜあそこまで事情に詳しいのか、それも知りたい」
の「確かに・・・」
き「・・・なんだけど、それは何故か、今訊いちゃいけない気がした・・・何でかわからないけど」
の「でも、いつか訊きたいね・・・」
き「まずは絶対、卒業して中等部の試験受かろうな!」
の「うん、必ず――一緒に!」
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