★だい36わ:しゅき★
幾多もの苦い歴史を潜り抜け、とらんぷたうんと言う大きな街を筆頭に
我々の今日は廻り回る・・・が、しかし、水面下ではよくない出来事をばら撒く組織の・・・
正確には組織の残党が未だ拡大しつつある、
あの会談により、錯綜していた情報は少しずつ明るみに出る―――。
慣れ親しんだこの景色は、あるふたりの妖精がやってきてから、変わった気がします。
と同時に、色んな大人たちによって、
この親子の運命に関わる出来事も遠巻きながら次々と起きていく―――。
母親の願いはきっと、
「彼女」は子供らしくのびのび育って欲しい。
しかし、その後押しを邪魔立てる悪の手により、
体に重い足枷を放ち、徐々に蝕んでいくのでした。
無慈悲な事件は毎日のように頻発し、
警護を要する遣い手も手こずる。
それらは多数の犠牲を伴う事態にまで発展してしまい、尚もその被害は拡大しています。
この一連の争いは、実に半世紀以上もの歳月に亘って今なお拡大し続けてます。
今のところは何事もないように見える我々の暮らしは、
実は目の前で血の匂いが近づき始めている。。。これが現実です。
些細な魔法の悪用から始まったとされるほんの悪戯か、はたまた本気の殺意なのか。
「たったひとりの女の子」をめぐるいざこざ。
札付きのワルが集まるところで育った子供たちが大人になり、それがエスカレートした。
など、きっかけは諸説あるそうですが、そんなのは殆どの住民がどうでもいいとさえ思っています。
今ではひとりの力では到底解決できない。
地位や名誉、世界征服といった俗な目的も絡んでない。
ただ、平和が憎い。
ただ、平和な連中が憎い。
今や争いの引き金なんてのはこんな理由だろうとも言われています。
仮にそれが果たされたとして、世界を丸め込んだとして、
じゃあ何が残るのか?
何も残りません。
では、奴らは何かを生み出す力があるのか?
おそらく、何もないでしょう。
目的はすでに見失っているのです。
だから無慈悲な破壊活動を起こして楽しんでいるだけ。
その先に見据えているものなんてのは皆無であり、
ほんの目先に集中しているだけ。
話し合いなど通じるレベルではありません。
なぜなら、無言で破壊を続けるからです。何も躊躇することなどなく。
我々に残された希望は、結局は力しかないのか?、と問われると、正直辛いです。
我々妖精たちがかつて平和の象徴として崇められてきた「白い魔法の花」さえ、
根を摘まれていなければ、平和の手綱など容易く生み出せただろうに・・・
だが、まだ諦めてはならない。
我々にはまだたくさんの夢があり、希望がある。
そして、四色の"ふぇありぃとらんぷ"が再び目覚めるまで―――
・・・しもん殿・・・貴方には教えてもらうことばかりで、
何一つ恩返しが出来ないままお別れとなってしまいました・・・
貴方のご容態を見抜けなかった我々の完全な力不足であります――
貴方が遺したもの、決して無駄には致しません、必ずこの世界が平和に戻りますよう、
お祈りください――ありがとうございました――
とらんぷたうん 国王
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