★だい35わ:ファースト・キス★


さ「こんな大変な時にアレかも知れないけどさ、オレ、決めたよ」
め「決めた・・・?、それって・・・・・・!」

さ「オレさ――――この村、出ることにしたよ――――」
め「え・・・?」

きの「(え〜〜〜〜〜〜〜〜!!!???)」
ら「あらあら、てっきりめるちゃんに告白でもするのかと思ってたのに〜?」

め「村を出ていくって、なぜ・・・?」
さ「そもそもこの事件は俺がしもんの爺さんに教わった呪術を使って未来の世界に行ったことが発端だ―――本来ならこはきゅちゃんとはーつは、妖精大汚点の残党らの手によって殺されるはずだったんだ」
め「・・・(コク)・・・」
さ「そのはずだったんだ、でも・・・でもあんな悲しすぎる歴史になっちまうくらいなら、はーつとこはきゅちゃんが殺されずに済む世界があってもいい・・・寧ろ、その方が明るい未来になるんじゃないかって・・・!」
め「・・・・・・」
さ「だが結果はどうだよこの有様だ・・・!、はーつを病に侵させてしまったのも、こはきゅちゃんを悲しませたのも、他のみんなを巻き込んじまったんも俺の力不足が招いたんだ・・・」
め「そんな・・・」
さ「爺さんを看取った後、君のお父さんから話は全て聞いたよ、こはきゅちゃんとちゅにんくんがここを離れた事をな――だから俺は決めたんだ、多分何にも知らないあの子らにすべて押し付けて、原因を作った俺だけがここでのうのうと暮らすわけにはいかないってな」
め「でも・・・そんな急に――」
さ「――どうせやるなら、最後までやり切ってから後悔しろ・・・!、爺さんの魂が俺にそう言ってる気がする・・・、これも力を受け継いだからこそ、まだ何となくなんだが感じるんだ・・・」
め「さくらさん・・・」
さ「アリガトな、めるてぃちゃん・・・君は小さいころからずっと俺に良くしてくれた・・・運送業を立ち上げてまだ駆け出しで、仕事が軌道に乗る前に落ち込んでた時も、周りの顰蹙を気にしないで、めるてぃちゃんだけが俺の背中を押してくれた・・・今でもその恩は忘れてねぇ・・・!」
め「・・・どうしても、行っちゃうんですか?」
さ「あぁ・・・一刻も早くはーつの病気も治さなきゃなんねぇ、妖精大汚点共も何とかしなきゃなんねぇ、子供たちも連れ戻さなきゃだし、やらにゃかいかんこと目白押しだ――それによぉ、・・・俺がやんなきゃ、爺さんも浮かばれんだろ?」
め「・・・・・・(グスッ)」
さ「え、ちょ、な、何で泣くんだよ、何で・・・!」
め「わ、私も後悔する前に、言います・・・!」
さ「え?、言うって、何をだ?」
め「わ――私―――、私、――さくらさんのことが好きです・・・!」
さ「・・・え?」

きの「(――――――――!!!)」
ら「あらまぁ、めるちゃん――――!」

め「それこそ小さいころから、クラスメイトの男の子たちよりも、もう大人なさくらさんの方がずっと・・・気になってたなんて中途半端な気持ちじゃない――今も変わらず―いや、それ以上に好きです!」
さ「めるてぃちゃん・・・!、何を――」
め「さくらさんのことを止める権利は私にはありません・・・けど、今日は・・・今だけでいいです、今だけ・・・・・・わがまま、させてください!」
さ「めるてぃちゃ―――」


チュッ



き「あ・・・・・・!!!」
の「(―――――!!!)」
ら「きゃ♪」



め「えへへ・・・とっておきのファースト・キス・・・!」
さ「な・・・ぅ・・・えっと・・・!」
め「だけに、するつもりだったけど、、、ワガママだな私・・・やっぱり足りないや・・・!」

ギュッ――チュッ―――・・・


き「あぁぁぁぁぁあぁ・・・もう見てられねぇ・・・(*ノノ)」
ら「さぁさ、私たちはおいとましましょ、これ以上はふたりのジャマになっちゃうからね♪」
の「もう少し・・・もう少しだけ・・・ここに居ていいですか?」
ら「え?」
の「・・・大人ってスゴイんですね・・・!」
ら「あらあらw」


め「さくらさん、約束してください・・・、絶対にここに帰ってくると・・・!」
さ「も、もちろんだ・・・」
め「そして、帰って来たら・・・私を――あなたの、お嫁さんにしてください・・・!」
さ「めるてぃちゃん・・・お、おぅ!」
め「やった♪」
さ「めるてぃちゃん・・・ありがとな・・・!」
め「はい♪」







み「・・・思った以上に広い森ね・・・迂闊だったかな・・・食料の用意くらいはしとくべきだったかな・・・あ、リンゴの木発見!、ラッキー♪」

ブチッ

み「こんなトコに農家が住んでるか分かんないけど、わけあってゴチになります――(パクッ)」

・・・・・・

み「リンゴなのに何でみかんの酸味がするの・・・?、変なの・・・でもこれはこれで美味しいわ、もう1個だけもらっとこ――!、何か見えるわ・・・いよいよこの森の奈落ってトコかしらね――」
▲「動くな、妖精よ!!」
み「ん?」
◆「おい、まだガキだぞ、何でこんなトコに・・・?」
み「レディに対してガキとは随分失礼ね・・・!」
◆「ぷ・・・ははははははは!!、随分チンチクリンなレディだなぁオイ!」
み「(・・・コイツらも黒ずくめだけど、まやらさんが言ってた街を襲った連中とは違うようね・・・意思がないってわけでもなさそうだし)」
▲「子供よ、ここに何の用だ」
み「この森を囲んでる街を破壊したのはあなたたちなの?」
◆「だったら何だってぇんだガキ!」
▲「ここら一帯は我らが占拠した!、死にたくなければ早々に立ち去るがよい!」
み「妖精大汚点・・・やっぱりね・・・だったらその占拠したもの、私が占拠しちゃおっかなぁ・・・!」
◆「何だと・・・!?」

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