★だい33わ:このいのち、だいじにしないとな★


チュン、チュン―――

こ「ちゅにんくん、ちゅにんくんっ、あさだよ〜!お〜きぃて〜っ!」
ち「んぁ・・・?」
こ「こはきゅよりもねぼすけさんだぁ―、よぉし・・・―――・・・・すぅうう・・・・・・・・・おきなさーいっ!!!」
ち「ううへはびだじぇffjうぇおいfrw!!!?」
こ「アハハハハハ〜〜〜、なにそれ〜?」
ち「へ??、こはきゅ??」
こ「やっとおきたねっ!、ね〜ぼ〜す〜けさんっ」

チュッ☆

ち「へ? え?、こ、こはきゅ???」
こ「えへへ〜♪♪、おめめさめたぁ〜?」
ち「あ、あぁぁ・・・!」
*「まーったく、お子ちゃまのクセに朝っぱらから見せつけてくれるじゃなーい?」
ち「わぁぁぁぁ!?」
*「どう? 夕べはよく眠れた?」
こ「うん、ぐっすり☆」
ち「あ・・・うぅ・・・」
*「それはよかった、さぁさ、朝ごはんの用意出来てるから早く着替えていらっしゃい」
こ「わーい、あっさごはん〜〜いこっ、ちゅにんくんっ!」
ち「あ、あぁ・・・」

ち「(こはきゅって、こんなマセた性格してたっけ・・・?)」





*「お、来たね? さっそく食べましょう、ちゅにんくんはすっごく食べる子だからほいっ」

デンっ――=З

ち「うぉ!すげぇメチャ盛り・・・」
こ「おぉ・・・バイキングみたい・・・!」
*「あなたバイキングなんて知ってんだ? でもこれは君たちのために特別ケータリングで☆」
こ「けーたりんぐぅ?」
ち「な、なぁ・・・夕べの部屋にしても食事にしても、何でオイラたちをここまで良くしてくれるんだ?」
*「ん?、別にそこまでのつもりじゃないけど?」
ち「第一・・・、オイラたち、こんな呑気にしてていいのか?」
*「お、昨日は嫌々言ってたのに、ん?、こはきゅちゃんの愛で心境の変化かなぁ?」
ち「バヵ・・・何言って・・・そんなんじゃなくて・・・よくはわかんねぇけど・・・何か変な胸騒ぎと言うか、違和感と言うか・・・」
*「ここに来たらまずは啓示を受けてもらうって私、昨日勢いで言っちゃったけど、正確にはちょっと順序が違うんだよね」
ち「え?」
こ「ん〜、おいひぃ〜♪」
*「君たちは確かにふぇありぃとらんぷになれる条件はすでに備わっている、でも今はまだその時じゃないのよ」
ち「その時じゃないって?」
*「君たちはまだまだ年端もいかない子供、残念ながら力もまだ全然未熟、そんな状態で闇雲に啓示を受けてしまってもね、、心も体も付いて行けないで終わっちゃうだけ」
ち「なるほど、それは確かに、うん」
*「それに、昨日来たばっかりでここの環境に慣れていないでしょ? まずはちゃんと馴染んでからでないと、何にも動けないじゃない?」
ち「(コク―ー)」
*「だから!あなたたちはしばらく何にもしなで、ここで目一杯遊んじゃいなさいってこと!当分飽きない程度には広い場所がたくさんあるから、ふたりで探検ごっこでもするもよし、自由にしてていいわ」
ち「は、遊んでていいって・・・こはきゅのお母さんが大変だってのに!」
こ「おかあ・・・さん?」
ち「あ・・・えっと、あ・・・と、とにかくそんな場合じゃ――」

(シャラララ・・・・・・・・・)

ち「え・・・な、何をしたんだ?」
(ソッ・・・)
*「(ちゅにんくんなら勘がいい方だと思って黙っていたけど忠告するわ・・・!)」
ち「え?」
*「(こはきゅちゃんの前でお母さんの話はくれぐれも出さないで頂戴・・・!)」
ち「ハ、ハイ―――」
こ「ん、ちゅにんくん、どーしたの?」
ち「へ・・・あ、あれ??」
こ「ん〜?」
*「さぁさ、冷めちゃわないうちに食べて食べて!」
ち「(あ、あれ・・・?、オイラ、今大事なこと言ったような・・・あれ??)」





ち「(遊んでらっしゃいと言われても、こう広すぎちゃすぐ迷っちまう・・・寧ろヘタに動いちゃ行けない気さえする――でもこのまんま引きこもっているわけにも行かない、ましてやこはきゅが一緒なんだから尚のことだ―――)」
こ「ろーかがひっろぉぉい!」
ち「(とりあえず、オイラたちの部屋は・・・1階の117番で端っこの部屋だからまぁ、これは覚えやすいからいいとして・・・クソ、こんなことになるんだったらあの日記帳持ってくるんだったな・・・)、こはきゅ、そう言えば日記帳って持ってきてる?」
こ「にっきちょう?」
ち「ほら、村の学校でもらったアレだよ」
こ「ん〜?、なぁに、それ?、こはきゅ、そんなのしらないよぉ〜?」
ち「・・・え?」
こ「あ!ねーねーちゅにんくんっ!」
ち「ん?」
こ「このかべ、ひかってるよ?」
ち「壁?――あ!」
こ「やじるしがひかってる〜」
ち「・・・何だこれ・・・、何か意味があるのかな・・・?、とりあえず・・・行くか!」
こ「うんっ!」
ち「(こはきゅが日記帳のことを知らないとかありえない・・・あの魔法使い、こはきゅに何しやがったんだ・・・?)」

*******

*「―――ハッ!?」
み「気が付いたかしら?」
*「え・・・、何でだ?、オレは体を貫かれたはず、アレ・・・?」
み「間一髪のところでアタシの回復魔法が間に合ったみたいね」
*「回復魔法・・・?、君が治してくれたのか?」
み「それにしても・・・・・・ヒドい有り様だわ・・・ここまで見事に荒らせる連中がいるって言うの・・・?、早いうちに何とかしなくちゃね・・・!」
*「すまねぇな嬢ちゃん、にしても君みたいな小さい子がどうやってそんな力を?」
み「そんなことはどうだっていいじゃない、それよりここをメチャクチャにした連中のことをもっと教えて!」
*「あ、あぁ、・・・襲った連中はふたり・・・どっちも全身黒ずくめの布を被ってた」
み「黒ずくめ?、顔とかは見えなかった?」
*「体中覆ってて姿や顔までは確認できなかった・・・」
み「そう――、で何か言い残したこととか無かった?、何かよこせ!とか、誰かをさらって逃げたりとか」
*「いや、アイツらは何も話すことはなかった――、ただただ闇雲に町を破壊し尽くしてった・・・建物もオレたち妖精たちも形振り構わずぶっ放してな・・・!」
み「――そう・・・」
*「ふたりに意志とかそういうのは感じられなかった・・・子供も女もひとり残らず・・・ク・・・!」
み「・・・・・・」
*「君は奴らを何とかするとか言ってたけども、悪いことは言わない、止めたほうがいい」
み「・・・どうして?」
*「アイツらの強さは尋常じゃない・・・!、オレの知ってる限り、アレは半世紀前の戦争を再現してるかのような強さだった!」
み「半世紀前の戦争、ね・・・ふぅん、その程度なの?」
*「え?」
み「ふん・・・アタシが小さいからってあんまりナメないで欲しいわ・・・!、戦えるかどうかなんてやってみなくちゃ分からないでしょ?、で、ヤツらはどっちへ向かったの?」
*「・・・・・・ヤツらは向こうの森の中へ入っていったよ」
み「(・・・私たちの村の方角・・・じゃないわね・・・)あの森って中に何かあるの?)」
*「あの森はただの森じゃない、ここからの視界では大した距離には見えないが―――オレにもよくは分からんが、実際は急な下り坂でそれもとんでもない距離らしい、でもって一番底に何とかって言う遺跡だか洞窟だったがあるらしいが、普通の住民が踏み込めるようなトコじゃない」
み「なるほどね・・・じゃあ、襲ったふたりが森へ入っていったと言うことは、きっと遺跡にせよ何にせよ何か目的があって入ったのかも知れないわね?」
*「目的が・・・?」
み「今の話を聞く限り、そのふたりがただ何も考えずに入ってったとは思えないのよね、アタシには」
*「じゃあ、アイツら自身の意思でってことか?」
み「ここを襲ったのも何か根拠や理由があってのことかも知れないわね、もちろんアタシはそれに対して同意する気はないけどね」
*「く・・・!、オレはこれからどうすれば・・・!」
み「あなた、魔法は使えるの?」
*「魔法?、少しだけなら使えるが?」
み「空は飛べる?、早く飛べたり出来る?」
*「自転車の早漕ぎ程度のスピードなら何とか」
み「上等ね、じゃあアタシの住んでる村を訪ねなさい、さっきの森からちょっとズレた方角・・・ここからだとあなたのスピードなら休まずに飛んだ場合、およそ2日くらいで着くはずよ」
*「休まずで2日かぁ・・・そんなに遠いのか」
み「あ、ちょっと待って!手ぶらで行っても受け入れて貰えないかも知れないわね、一応持ってきておいて正解だったわ――・・・・・・書くもの、書くもの、と――――よし、ハイこれ」
*「これは?」
み「星際機関所属の魔法使い、アタシたち初等部の生徒に配られている特別製の日記帳よ、今やぶって渡したのはメモ帳の欄、これにアタシのサインをしておいたから、それ持って初等部の校長先生にでも渡しなさい」
*「星際機関・・・そうか、あの村ならオレも分かるぞ・・・そうか、だから君は・・・!」
み「“みるふぃの紹介でここを訪ねた”とか言っとけば多分何とか受け入れるなりしてくれるでしょう、滅ぼされたあなたの街のこととか色々ね、あ!、ちなみにみるふぃってのはアタシの名前ね」
ま「オレも名乗るのが遅れちまったな、オレは“まやら”だ」
み「そ、宜しくね、まやらさん」

―――ザッザッザッ―――

ま「お、オイ・・・まさかもう森の中に入るのか?、何も準備しないで?」
み「アリガト、まやらさんも気を付けてね、じゃ!」

――――ビュン――――・・・・・・

ま「・・・な、なんて速さだ・・・今どきの子供ってあんな優秀な子もいるんだな――――――・・・彼女に救われたこの命、大事にしないとな・・・おっと、オレも急がなければな――――・・・アリガトな、みるふぃちゃん・・・!」


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