★だい30わ:まほうのこくはく★


ち「なぁ、まだ掛かるのかぁ〜!?」
*「もうまもなく“ねおたうん”に着くわ、もうちょっとだけ辛抱しなさーいっ!」
ち「オイラたちには学校もあるってのにさぁ、どーすんだよ、こんなバカ遠いとこに連れてこられてさぁ・・・?」
*「あ、その辺は心配しないで、君たちの転校手続きはすでに各種・各方面すべて済ませてあるから」
ち「ハ?転校ってちょっと待てよ・・・! 何だよ転校って!」
*「大丈夫よ、君のご両親にも連絡はちゃんと入れてるから!」
ち「両親!?、連絡!?、何言って―――」

―――ピン―――

ち「あ・・・う・・・」
こ「うわぁ〜、くもよりはやーい!!――ね〜♪ちゅにんくーん〜!」
ち「・・・・・・」
こ「あれ、ちゅにんくん?、ねちゃったの?」
*「ちゅにんくん、もうすぐ到着だよ〜?」

―――ピン―――

ち「ん・・・、あ・・・あれ?」
こ「どーしたの〜ちゅにんくん、きゅ〜にいねむりさん?」
ち「あれ・・・オイラ・・・あれ、え?」
*「(・・・ゴメンね・・・、もうこれ以上悲劇は起こしたくないのよ・・・)――さぁ、着陸よぉ!」

ストッ――――

*「よし、着いた!途中少しだけロスしちゃったけど思ったより全然早かったわ! さっすがこ・・・ワタシぃ!」
こ「とーちゃく〜!」
ち「・・・・・・」
こ「おっきーぃ!、なにこれすっごーい!!」
*「おつかれさま〜さすがに疲れたでしょう、今日はもうゴハン食べて、お風呂入って休むだけよ――っとその前にこはきゅちゃん、ちょっといい?」
こ「ん〜?、なぁに?」
ち「…?」
*「こはきゅちゃんにちょびっとだけなんだけど、賢くなれるおまじない☆」

――ピン――

こ「ん〜?」
ち「賢くなれる?」
*「そ、乗車中ずっとおりこうさんだったこはきゅちゃんに、私からのささやかなプレゼント♪」
こ「わーい!、もらっちゃった〜、けどなんにもない〜」
ち「(・・・いよいよワケわかんねぇ・・・)」
*「さぁさ、お腹すいたでしょ? とりあえず、君たちそれぞれのお部屋に案内するわ!」
こ「え? それぞれって、こはきゅひとり?」
*「え?、えぇ、すっごく広いスウィートの個室を取っておいてるのよ? こ〜〜んなデッカいベッドもあるわよ?」
こ「ヤダヤダ!こはきゅひとりはこわいからイヤなの!」
ち「こはきゅ?」
こ「ひとりになるのだけはイヤ・・・こわいのぉ・・・!」
*「え、え、ちょ、ちょっとどうしたのよ?」
ち「――こはきゅの母ちゃんを助けたアンタだったら分かるだろ・・・?」
*「え?」
ち「今のこはきゅは、母ちゃんがああなっちゃって、それ以前も不思議ことが次々起きてて、気が滅入ってるかもしれないんだ、そこでいきなりこんなトコに連れられて、夜中ひとりぼっちにさせられちゃ余計辛いに決まってるだろ、監禁生活じゃないんだからさ!」
*「あ・・・まぁ、そうね・・・」
ち「ましてやアンタたち大人と違って、オイラはともかくこはきゅはまだまだ小さい子供なんだぞ・・・!それぐらい分かってやれよな!」
こ「ちゅにんくん・・・」
*「・・・確かに、あなたの言う通りね、私たちも一刻を争う気持ちで来たもんだから、そこまで気が廻ってなかったわ、ごめんなさい――」
ち「一刻を争う?」
*「じゃあ、こはきゅちゃんとちゅにんくん、一緒の部屋にする?」
ち「え?」
こ「うん、こはきゅ、ちゅにんくんといっしょがいいっ!」
ち「えと、あの、その・・・え、こはきゅ・・・?」
こ「うん?」
*「あ――・・・うん、それでいいんなら、じゃあ一緒のお部屋と言うことで手配しとくわ」
こ「わーいわーいっ!」
ち「(え〜〜〜・・・え〜〜〜・・・ちょっと待てよちょっと待てよ、一緒の部屋ってことは部屋ってことは、寝る時もずっと一緒なわけで、あぁ言った手前だからアレだけどさぁ、こりゃあ急展開のさらに急展開じゃんかよぉ・・・でもよでもよ、これはこはきゅに気持ちを伝える滅多にない・・・いや、もしかしたらこんなの二度とないチャンスでもあるよなぁ・・・!どうするちゅにんよぉ、ここで一世一代、男を魅せるか・・・!)」
*「(んふふ、あのうろたえ様♪・・・そっか、そっか・・・ちゅにんくん、もう既にあの頃からあぁだったのかぁ・・・ふぅ〜ん・・・そっか、そっか・・・)」
こ「ねぇねぇ、はやくいこうーよぉ、ちゅにんくんっ!」
ち「あ、あぁ、うん!」





こ「ハァ〜、ごはんおいしかったね〜♪」
ち「あぁ・・・」
こ「ケーキもおいしかった〜♪」
ち「おぉ・・・」
こ「でもこはきゅはちゅにんくんのつくったまっしろケーキのほうがすきかなぁ〜?」
ち「・・・うん・・・」
こ「・・・ちゅにんくん、つかれちゃった?」
ち「ん? あぁ悪りぃ、ゴハン旨かったな!」
こ「んふふ、ちゅにんくんとおとまりなんてはじめてだ〜!しかもこ――んなおふろばよりも――っとひろいベッドのうえでいっしょ〜♪」
ち「こはきゅはまだまだゲンキだな」
こ「うん〜? そんなことないよ? ちょっとだけねむいけどぉ、きょ〜からちゅにんくんとず〜っといっしょだもんっ!」
ち「ず〜っと…そうなっちゃうのかなあ…?」
こ「こはきゅね、さっきちゅにんくんがあのまほーつかいさんにおこったときね、こはきゅね、うれしかったぁ!」
ち「え? そ、そうなのか?」
こ「こはきゅはさいきんね、ひとりになるのがとってもこわかったの、こわいゆめをみちゃうこともさいきんすっごくおおくて・・・きのうおかあさんがおいしゃさんのところにいったときね、これから・・・もしかしらたこのままこはきゅがずーっとひとりになっちゃったらどーしよう?っておもってたんだぁ、そこでさっきのまほーつかいさんがおかあさんのことをたすけてくれたの、それとね、おかあさんがたいいんするまでのあいだ、おばちゃんのところにおいでって」
ち「・・・そうか、そういうことだったのか」
こ「たぶんなんだけど、あのまほーつかいさんね、とってもいいよーせいさんだとおもう!」
ち「こはきゅ・・・?」
こ「それに、これからはちゅにんくんとず〜〜っといっしょだからもうへーきっ!」
ち「うぐ――//////・・・そんなこと言われちゃったらさぁ・・・もう・・・!」

―――ギュッ―――

こ「ん〜?、な〜にちゅにんくん、だっこ?」
ち「あ、あのさ、こはきゅ――お、オイラ・・・オイラ・・・!こ、こは、こはきゅのことが・・・」
こ「こはきゅのことが?」


グッ


ち「――・・・・・・オイラ、こはきゅのことが好きだ・・・・・・!」
こ「ほっ?」
ち「初めて会ったときから・・・ひとりの女の子として好きだ・・・今までずっと一緒にいて考えたんだけど、やっぱ気持ちは今も変わんねぇ、最初はこはきゅを見てると何だか妙にモヤモヤしてるだけだったんだけど、オイラ、ある日こはきゅのことが友達以上に好きなんだって気付いた・・・!――こんなトコで言うべきじゃないかも知れない、これからまた大変なことになるかも知れないって時に何を言ってんだ?って思われるかもしれないけど・・・でも・・・後悔だけはしたくない・・・だから・・・だから・・・うぅ・・・――」

こ「・・・ちゅにんくん、ないてるの?」
ち「ハァっ!スマン、何か色々こみ上げてきちまったな・・・言ったらスッキリしちまった!」
こ「そっかぁ、こはきゅとおんなじだぁ」
ち「え?」
こ「こはきゅね、さっきちゅにんくんがまほーつかいさんにおこったときね、ちょっとおむねのおくがポカポカしたかんじになったの、うれしかっただけじゃなくって・・・いまちゅにんくんがいったようにね、こはきゅもちゅにんくんのことがとくべつにすきなんだって」
ち「・・・・・・」
こ「こはきゅもちゅにんくんがだーいすき・・・♪ いまのちゅにんくんはね、もっともぉーっとうえのすき!」
ち「もっと上・・・?」
こ「うん――」

チュッ―――

ち「ちょ、ちょ、ちょ・・・こはきゅ・・・え?」
こ「ちゅにんくんのおむね、あったかぁい〜・・・おかあさんとおんなじくらいにね、あったかぁい・・・♪」
ち「こは―――・・・ふぅ、・・・寝ちゃったのか・・・?」
こ「(スゥスゥ―――)」
ち「――こはきゅ、大好きだ・・・!」





さ「突然何だよじいさん!」
し「(呪術を極めたいんじゃろ?いいから早く戻って来い、ワシが生きてるうちに!)」
さ「ハァ!? 何言ってんだよ? 生きてるうちにって何だよ?」
し「(イイからなるべく急げ!出来れば急げ!いいな!)」
さ「ちょ・・・オイ・・・えぇぇ???」
も「・・・そうか、しもん氏ももう随分ご高齢でいらっしゃる・・・ひょっとしたらとも思ったが、もうそんな時が来てしまったのか・・・」
ら「私もいっぱい可愛がって貰ったのよ・・・うぅ・・・感謝します・・・」
き「え、ちょっとみんなどうしたのさ?」
の「おばさま、大丈夫ですか・・・?」
ら「ありがとう、のえるちゃん――」
ふ「何だかよくわかんないけどさ、アタシにももちろん今のを説明してくれるんだろうね?」
ら「はい・・・一緒にしもんさんの所に行きましょう・・・きっと喜ばれますわ・・・!」
ふ「喜ばれる?」
も「急ぎましょう!」


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