★だい26わ:かぷせるのげんじつ★
き「な、なぁ・・・どこへ行くつもりだよ?」
の「博物館ってこの方向でいいの?」
き「いや違う、なぁみるふぃどこへ行くんだ!?」
み「決まってるじゃない、王様の所よ」
き「はぁ!? おいおい、そんなトコ行けるわけないだろ! 第一行ったところで守衛さんたちに追い出されるのがオチだろぉが?」
の「そうよ、第一私たちが行ったところで何の得にもならないわよ」
み「気になるのよ・・・」
き「何がさ?」
み「あなたたちは気付いてないのかもしれないけど、こはきゅちゃんがはめている指輪がふぇありぃとらんぷの証かどうかを確かめるためにね」
き「え・・・?」
の「今何て言ったの・・・?」
み「ふぇありぃとらんぷよ」
き「ふぇ・・・ふぇありぃとらんぷって言ったら、魔法遣いの権威じゃねぇか・・・こはきゅが??」
の「うそ・・・」
み「王様のトコへ行くのは大丈夫よ、私の魔法でみんなの姿を隠すから」
き「姿を隠す?」
み「そうすればバレないでしょ?」
の「そんな魔法まで使えるの、みるふぃちゃん?」
き「あ・・・アンタ、一体何もんだよ・・・」
み「何って・・・正真正銘、めるてぃお姉ちゃんの妹よ」
き「いや、そうじゃなくて――」
み「魔法のこととか私が今までしてきたこととかは、そのうちみぃんな話してあげるから、今は黙って付いてきて! いい?」
き「あ、ああ・・・」
の「本当に大丈夫かしら・・・?」
み「大丈夫! それにあなたたちも知りたいんでしょ? こはきゅちゃんたちのこと――あ、あそこが正面みたいね、よし、それじゃあ姿を隠すわね」
フッ――
き「わ!」
の「すごい! 本当に見えなくなっちゃった・・・」
み「(聞こえる?)」
き「え?」
の「な、何?」
み「(ここから先は無闇に声を出せないからアタマの中で喋りなさい!軽く念じれば会話ができるわ)」
の「(こ、こう?)」
み「(そうそう♪ さすが上級生^^)」
き「(す、すげぇ・・・お前どうやってこんな魔法を・・・)」
み「(だからそれも今度まとめて教えてあげるから)」
の「(でもこれじゃあ声は聞こえても私たちお互いが見えない・・・)」
み「(そこは感じ取るのよ)」
き「(感じ取るって?)」
み「(相手の体温や魔力を気配に変えて感じ取るのよ、それで誰が居るか分かるようになるはずよ)」
き「(・・・・・・む、難しいな)」
の「(ね、ねぇ・・・私が間違っていなければ、何か向こうから少しだけ大きな魔力を感じない?)」
み「(王族か魔法兵士たちでしょ? それなりに実力ある連中だもの、当然よ)」
の「(いや、そうじゃなくて私ときららが来た方から――)」
み「(さ、準備はいい? 行くわよ!)」
き「(お、おう・・・何か緊張してきた・・・!)」
の「(・・・私の気のせいかしら・・・)」
※
し「よもぎ・・・いや王様よ、それは誰なんじゃ?」
王「星際期間の初等校校長です」
し「学校の・・・? なんでまた?」
王「私と校長は実は同期なんです――で、我々が若い頃・・・先代の王族たちとこの頃の記録を洗い出していた時期がありまして――結局は平行線のままろくにまとまらずに終わってしまったのですが、確か彼は映像記録の再現とまでは行きませんが、既にある記録を映し出すことなら出来たはず」
し「なんと! そこまでの遣い手が居ったのか! だったらすぐにそいつを呼ぶのじゃ!」
王「ええ、ですが校長は別に用があるとのことで、同じ学校に所属する教師を派遣するとのことです」
し「そいつは記録を映せるのか!?」
王「え・・・いえ、そこまでは私も把握しておりません・・・」
し「もしそいつに出来んかったら意味が無い、無駄足じゃぞ」
王「・・・面目ありません」
*「お話し中失礼したします、星際期間初等校の遣いが参りました」
王「おお・・・入るのだ!」
め「こ、こんにちは・・・」
し「おや、誰かと思ったら娘っ子じゃないか」
さ「め、めるてぃちゃん!!」
め「さくらさん・・・! それにしもんおじいちゃんまで・・・一体――」
王「その話は後にしましょう、 めるてぃさんでしたか、はるばる来ていただいて早々申し訳ありませんが例の物は?」
め「は、はい、このカプセルの中です」
し「おぉ〜懐かしいのぉ、このガッチガチなカプセルを見るなんて何十年ぶりじゃのぉ♪」
さ「こんなのになぽれ様たちの足跡が・・・」
王「それではめるてぃさん、さっそくですがあなたにをお願いしたいことがあります」
め「は、はぁ、何でしょう?」
王「このカプセルに入っている映像を魔法で映し出してほしいのです」
め「再生ですか?」
王「出来ますかな?」
め「は、はい、やってみます」
さ「(いくら何でもそんな高等魔法を・・・優秀なめるてぃちゃんとは言えそんなカンタンに――)」
カッ――――
し「おぉ〜映ったぞい!なかなかやるのぉ〜娘っ子♪」
王「スゴい・・・お若いのにこんな高等魔法を・・・」
し「バカモン! 昔はちゃんとした遣い手なら真面目に訓練さえしておればこの程度造作もない、みぃんな当たり前に使いこなせたモンじゃ、お前らが軟弱で体たらくすぎるからレベルの低い手下ばかりしか育たないんじゃ! もし妖精大汚点が迫ってきたら一瞬で沈没じゃわい!」
王「め、面目ありません・・・」
め「見えますか?」
し「う〜ん・・・もう少し拡大出来んかの?」
め「はい・・・! こ、これでいかがでしょう・・・と言うか、私にはこれが限界ですね・・・!」
し「いやいや上出来じゃよ、コイツらバカチンどもよりよっぽど真っ当な遣い手じゃわい――さて、と・・・?」
さ「音が全く入ってこねぇな」
大「50年以上も経っているのだ、カプセルに護られていたとはいえ何かしらの劣化は否めないだろう、ましてや想像できないほどの爆撃とやらを掻い潜ってきたのだから尚更だ」
王「でも素晴らしいです、映像の劣化は致し方ないですがこの目ではっきり見えますよ」
さ「あの真ん中に立ってるのがなぽれか?」
大「・・・だな――」
し「ム・・・! バリア・・・か・・・?」
さ「何か上の方が光ってないか? バリアの波動か?」
め「違います・・・これは・・・核爆弾です・・・!」
さ「カクバクダン・・・?」
し「あ!!」
・・・・・・・・・
め「私も初めて見ましたけど・・・こんなに酷いものとは・・・」
大「・・・あんな衝撃からよく逃れられたモンだ・・・この星に帰ってきた妖精は・・・」
し「・・・こんなことを言ってしまったら死んだ彼らが浮かばれんじゃろうが・・・完全に時と場所、それにタイミング・・・見事に3拍子揃って外したの」
王「・・・・・・」
し「今の映像を見る限り、あの爆発した範囲はごく狭いとみた・・・あれで星の大半が滅んだとかのレベルまでではなさそうじゃの・・・もっとも、同じ爆弾がこの星に落ちたとすれば、どうなっているか分からんがの――にしても、もう少し遅く蒼き星に付いていれば、ちゃんと生きてここに帰ってこれたかも知れんじゃろうに残念じゃのう」
さ「なぁ・・・あんな恐ろしいモンを抱えている星にこはきゅちゃんを放りこもうとしてんのかよ、テメーら・・・!」
め「え・・・? こはきゅちゃんを?」
し「他に方法はあるまい?」
め「ちょ、ちょっと待って下さい! こはきゅちゃんを放りこむって、蒼き星にですか!?」
し「今となれば、ふぇありぃとらんぷ同士の子であるあの嬢ちゃんしか踏み込めん領域じゃろ? 他の妖精はもちろん、はーつでもムリじゃ」
め「そんな・・・いくら何でも無茶です、あの子はまだ小さいですし、それに魔力はまだ全然初心レベルです」
し「無論、今後の彼女の志次第じゃ――ただ、今のままではどの道辛い結末を迎えるだけじゃ」
め「こはきゅちゃん・・・!」
し「あ、そうじゃ!こないだのデカい白詰草の魔力を受けたのは誰じゃ? 消滅してるっちゅうことは既に誰かがはーつの発した啓示を受けたはずじゃ」
さ「めるてぃちゃん・・・話してもいいな? 今さらもう引き下がれないぞ・・・?」
め「(コク・・・)」
さ「そのこはきゅちゃんともうひとり誰だったか?」
め「ちゅにんくんです・・・」
さ「そうそう、そのちゅにんくんのふたりだ」
し「ふたり? 啓示はひとりしか受けられんはずじゃぞ! ふたりは有り得ん!」
め「たまたまだったんです、あの子たちが揃って白詰草に近づいてしまったせいで魔力が暴走してしまって・・・暴走の方は私が何とか抑えたんですが・・・」
し「ふむ、そうか・・・さすがにその手の事例は過去に例が無いからワシにも何とも言えんのぉ・・・にしてもはーつのヤツ、なぜこのタイミングで啓示を起こしたんじゃろうな・・・?」
「・・・・・・・・・」
さ「なぁ、仮にこはきゅちゃんが蒼き星に行くって言ったとしてもよ、どうやってなぽれ様と肩を並べる力を付けるってんだよ? これまでみたいに普段通り学校に通っただけで力をつけられるのか?」
し「それについてはワシに策がある」
※
こ「・・・う・・・ん・・・ねちゃったんだ・・・おかあさん、だいじょうぶかな・・・」
(カチャ――)
こ「おかあさん、はいるね――――・・・!おかあさん、おかあさん!!」
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