★だい25わ:ほんとうのれきし★
き「やっぱあの親子、城に向かってる・・・」
の「確か、中は博物館だったっけ? そこに行くのかしら?」
き「・・・・・・」
の「ねぇきらら、あのみるふぃちゃんがそんなに気になるの?」
き「のえる、こないだの魔法実習ん時にめる姉が言いかけたこと覚えてるか?」
の「え?」
き「“みんなはまだ気付いてないだろうけど”って」
の「・・・あぁ、何かそう言えばそんなこと言ったような、言ってないような」
き「アタシの思い過ごしじゃなければ、だ」
の「?」
き「みるふぃは・・・タダモンじゃないかも」
の「?」
き「考えても見ろよ、アタシたちだってアイツくらい小さい頃はてんで大したことは無かったはずだ、それこそこないだの実習ん時のこはきゅと同じくらいにな」
の「う、うん」
き「める姉の妹だからスゴイんじゃない、あの一家は別に王族でも何でもない普通の血筋のはずだ、アタシはめる姉のことをよく知ってるから言うけど、める姉は見えないところですんごい努力をしてあそこまで伸し上げてきたんだ」
の「う、うん」
き「みるふぃのヤツ・・・もしかしたら、める姉以上かも」
の「ま、まさかぁ〜・・・いくら何でもそれはちょっと大げさじゃない?」
き「あんなチビスケのクセにどうやって・・・」
の「・・・ふふ、きららもスゴいと思う」
き「な、何だよ急にっ」
の「・・・だから私も色々助けられた♪」
き「また昔話かよ・・・」
の「今のきらら、私を助けてくれた時とおんなじ目をしてた」
き「え?」
の「別にヘンな意味で言ってるんじゃないよ? じゃなくて、みるふぃちゃんのことも・・・もちろんこはきゅちゃんやみんなのことにいつも気を遣ってる」
き「な・・・止せよ、調子が狂っちまうっ」
の「なぁに、照れてるの?」
き「・・・(*`д´)=З そんなこたぁイイからみるふぃの後を追うぞ!」
の「うふふ、きらら可愛いいっ(*^v^)」
み「うふふ、きらら可愛いいっ(*^v^)」
きの「!?」
み「フフン、私が気付かないとでも思ったつもり?」
き「い、いつのまに・・・!」
の「どうやって私たちがわかったの・・・?」
み「それでも魔法遣いの端くれなの? なっさけないったらありゃしないわね!」
き「お、おまえ・・・一体・・・」
み「ふぅっ、まぁいいわ、やっとこれで邪魔クサいのが居なくなったから――さて、何で私がここに来ているって思ってるでしょう?」
の「みるふぃちゃん・・・?」
み「私に付いてきて! それですべてが分かるわ」
も「あれぇ? みるふぃや〜い、どこへ行ったんだぁい?」
ら「おかしいわねぇ、今さっきまで私たちの前に居たのにねぇ?」
※
さ「ほ、ホンモノの白詰草たってさぁ・・・そんなのどうやって手に入れるんだよじ〜さん!」
王「しもん様、私もそれはいくら何でも雲をつかむより難しいことなのでは?」
し「蒼き星に行けばいくらでも手に入るはずじゃ」
さ「いやだからさ、その蒼き星にどうやって行くんだよ! よりによって宇宙へ飛び出すなんてそんなバカげた話をどうやって――」
し「なぽれはそれを成し得て蒼き星に行ったんじゃぞ」
さ「はーつにそこまでの魔力があるってのか?」
し「ま、はーつじゃ多分ムリじゃろな」
大「ではどうやって・・・!」
し「なぽれとはーつの娘っ子ならどうじゃ?」
王大さ「え!?」
さ「ジジイ・・・いよいよボケたか・・・?」
し「お前に言われたかないわい」
さ「こはきゅちゃんが・・・あんな小っちゃい子がどうやって・・・!」
し「何も今すぐ蒼き星に行かなきゃならんわけじゃあるまい? さっきも言ったようにはーつの病気はすぐに進行して命に関わる症状を出すものじゃない」
さ「だからって急にンな事・・・」
し「ま、これも一つの賭けみたいなモンじゃがな」
王「賭けと言いますと?」
し「妖精大汚点の出方次第じゃがな、ヤツらが動き出す前に白詰草さえ手に入れりゃあ問題ないと言うことじゃ」
大「でもそれは病気を治すための物なのでしょう? 妖精大汚点とは何の関係も――」
し「バカじゃのう、アレは何も病気だけに有効な花じゃない」
王「え?」
し「しっかしお前さん方はま〜学が無いのぉ〜、、、分かった、面倒クサいがすべて教えてやるとするか」
さ「お、おう・・・」
し「まず、なぽれが蒼き星に行った目的は何じゃ?」
王「蒼き星に行って・・・えっと・・・当時繰り広げられてきた戦争を終わらせるために・・・」
し「なぽれが蒼き星に行ったのは戦後じゃ」
王「・・・えっと・・・」
し「大臣、なぽれはなぜに蒼き星に行ったんじゃったか?」
大「あ、蒼き星とこの星とを繋ぐため・・・?」
し「70点じゃな」
大「は、はぁ・・・」
し「なぽれが蒼き星に行く目的は、白詰草の採取が一番の目的じゃ。じゃがイチイチその為だけにあんな膨大な魔力を遣ってしまってはそれこそ身が持たん。なぽれだって妖精の子じゃ、限度がある」
王「確かに・・・」
し「で、彼は判断した――蒼き星とこことを行き来できる魔法の道筋を作るべく、蒼き星で一番魔力の強い場所を探すこと――なぽれより魔力の強い妖精は当時存在しない・・・つまり、その一番強い妖精が放つ道筋さえ繋ぐことが出来れば、いつでも白詰草を取りに行けるのだ、と」
大「なるほど・・・でもそんなことまで成せるとは、やはりなぽれ様は凄い・・・!」
し「――と老いぼれのワシですらここまでちゃぁんと記憶しているはずなのに、あの博物館の資料を並べたのは誰じゃ! 例の戦争から前後の内容がま〜いい加減なことこの上ない」
王「え・・・?」
し「だから今の国はバカモンの温床なんじゃよ! さっき話したなぽれの記述も出鱈目極まりない!! よいかよぉく鼻の穴をかっぽじって聞くんじゃぞ!? あの戦争もはーつの病気と同様、妖精大汚点の方が細胞破壊の魔法を仕掛けたからたくさんの妖精たちが犠牲になったのじゃ」
王大さ「!?」
し「最初は例によって炎や氷などの物理魔法の遣り合いじゃったが、ある日誰がどこで持ち出して会得したかは知らんが、やつらからすれば好都合も好都合、相手を一網打尽に出来るには打ってつけの魔法じゃしな」
王「そんな・・・惨い・・・」
し「それでも戦争は国の勝利に収まった・・・その立て役は無論なぽれじゃ」
大「やはりなぽれ様はとてつもない魔法遣いだったのですね」
し「うむ、ふぇありぃとらんぷ同士としてワシも誇らしい存在じゃったよ」
大「言われてみれば、なぽれ様が蒼き星に行かれた経緯が曖昧に書かれていたような――」
し「そうじゃよ! そこが肝心なんじゃ! たかが数十年前の話をちゃんと覚えている王族や遣いの妖精がろくすっぽ居ないのはどう言うことじゃ!」
王「め・・・面目ありません・・・」
し「まったく・・・! どいつもこいつもしょうがないヤツじゃのう、それじゃそれも話すとしようかの―――・・・・・・白紅茶おかわり!」
王「は、はいただいま・・・!」
*
し「――戦争には勝ったものの、このとらんぷたうんを始め戦場となった地域の殆どは復興の目処もろくに立たないほど荒れ果てておったのじゃ。当たり前のように咲いていたはずの花も、家も、道もみんな灰と化していた。
そこで国は、知力・体力・武力・行動力・そして何より肝心の魔力に特化した妖精を招集し、次世代のふぇありぃとらんぷの候補に相応しい妖精たちを選んだ――そして更にそいつらを含む優秀な魔法遣いを集めて“スター”と言うチームを発足させ、元の豊かな街や村にすべく立ちあがったのじゃ」
王「次世代・・・? 戦中はふぇありぃとらんぷは存在しなかったのですか?」
し「戦争で先代のふぇありぃとらんぷたちはワシを除いてみんな細胞破壊の魔法に罹って死んでしもぉた」
王「・・・」
し「残ったワシの魔力はダメダメじゃったしの、それでもワシらは何とか勝つことができた」
大「ではなぽれ様は、この時点ではまだふぇありぃとらんぷではなかったのですか?」
し「後継たちが誕生したのは戦争が終わってややしばらくたってからじゃ―――ふぇありぃとらんぷになるには魔力の覚醒と共に、証となる指輪が生まれていなければならん、なぽれとはーつは知り合ってからふぇありぃとらんぷになったのじゃ」
さ「(あれ、待てよ・・・? 白詰草事件の後めるてぃちゃんが言ってたこはきゅちゃんの指輪って・・・まさか・・・いやその前にこはきゅちゃんの父親はほいすととばかり思ってたが、オレの記憶違いか・・・?)」
し「じゃがスターの活動は平坦に事は進まなかった―――所々で治安の悪いまま曝されていた地域が悪いヤツらによって更なる混乱を招き、それがどんどんエスカレートして二次災害や無慈悲な事件が発生してしまうこともしばしばあり、それが復興の妨げになっていた。で、その中でも特に治安の悪い地域に位置する学校・・・じゃったかな? そこである日暴力事件が発生し、そこに通っていた若い女の子が命に関わるかも知れない大怪我を負った」
王「それがはーつ様・・・?」
し「そう、なぽれはその女の子を救出し献身的に守った。そうこうしているうちに、ふたりはお互いに恋におち、後に結婚することとなるんじゃが」
大「ほう!」
し「未だに忘れられないのが、結婚式が間近に迫ったある日、なぽれの口から出た言葉なんじゃが、“彼女は、何か我々が想像もしない奇跡を起こしてくれるのかも知れない”と。ワシは半信半疑で彼の言葉を聞き流してたんじゃが、何気なく口を付いたその言葉が後に現実になろうとは思いもよらなかった・・・まさに嬉しい誤算と言うヤツじゃな」
王「それがふぇありぃとらんぷになった奇跡・・・」
し「なぽれとはーつは奇跡的に揃って新しいふぇありぃとらんぷの称号を得た――今思えば、運命的な何かがあったのかもな――で、ふたりは結ばれ、子供が生まれ、夫婦の暮らしはもちろん、滞り気味だった復興も漸く・・・少しずつ前進し始めて来た」
さ「なるほどな・・・」
し「しかし、妖精大汚点の残党が居た事実がもう一つの誤算じゃった――機密事項で国に仕える妖精だけが知っているはずじゃったのだが、蒼き星に旅立ったなぽれが不在だと言う情報をもしかしたらどこかで知ったのかもな・・・ヤツらは誰の目も届かないところを狙ってはーつの暗殺を目論んでたのかも」
大「ここでほいすと様が・・・?」
し「その通りじゃ、はーつ親子を殺した残党はほいすと達が退治した」
王「達?」
し「うむ、ほいすとと、確かたちばな・つりばなと言う名前だったかな? 彼らがほいすとの側近となり、はーつ親子の仇を討ち、やっと今の平和の礎を築くことができたのじゃ」
王「でもなぽれ様は結局戻って来ることは無かった・・・」
し「そこは博物館の記事と一致するかの? そう、なぽれと連れの妖精たちは戻れなかった・・・いや、正確にはひとりだけ連れの兵士が戻ることができた」
大「ひとりだけ?」
し「うむ、どういう経緯でひとりぼっちになったかは不明じゃ、と言うのも戻ってすぐにそいつは死んでしまい、持ってきた映像記録が証拠らしいのじゃが・・・」
さ「映像記録? 何だそれ?」
し「残念じゃが、それはワシも見たことが無い――蒼き星で何が起きたか、彼らに何があったか――」
王「手がかりになるかはあまり期待しないで下さい、しもん様――でももしかしたら、薄々その映像記録とやらに繋がるかと思い、心当たりのある星際期間の妖精に話をしております」
し「何じゃと!?」
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