★だい23わ:ふらわおばさんとまたどらいぶ★


さ「彼女は俺の腕を傷跡一つ残さず元通りにしてくれました・・・しかし・・・!」
大「しかし?」
さ「・・・く・・・!」
王「・・・話すのだ・・・もうお前さんひとりの問題ではないのだぞ・・・!」
さ「俺の腕が治して再び逃げて――・・・、もう少しで逃げ切るところで見つかってしまい、奴らは禁じ手の魔法をはーつに掛けてしまったのです」
大「禁じ手の魔法?」
さ「ええ・・・後々になってだけど、彼女だけは何をされたのかすぐに分かったようです・・・」



さ「ハァハァ・・・どうにか間にあったみたいだな・・・!」
こ「つかれたぁ〜っ」
さ「なぁアンタ、最後に変な魔法を掛けられた気がしたんだが、何ともないのか?」
は「・・・・・・」
こ「おじさん、あのくろいようせいはだぁれ?」
さ「鬼さんだ、鬼さん」
こ「まだおいかけっこ?」
さ「大丈夫、ここまで来ればもう追いかけてはこないから」
こ「おにごっこはもうおしまい?」
さ「おにごっこか・・・・・・あぁ、もうおしまい、オレたちメチャクチャ走って疲れちゃったろ?」
こ「うん! めーいっぱいはしった!」
さ「よし、あっちのデッカい木の下で一休みだ」
こ「わぁ〜〜〜すごくおおきい〜〜〜♪♪♪」




は「・・・・・・・・・」
さ「すまなかったな、でもこれはあんたたちにとっても、俺たちにとっても――」
は「その前に答えて下さい、なぜ私たちの命が狙われていると分かったのですか?」
さ「それはこれからゆっくり説明するよ、とりあえずはーつも座っておけ」
は「! なぜ・・・私の名を・・・?」
さ「知っているさ、そこに居る娘さんの名前は・・・こはきゅ、だろ?」
は「・・・!」
さ「ふぅ・・・ではイチから説明しよう・・・まずここは、お前たちの居た世界から約50年後の世界だ」
は「50年後・・・!?」
さ「そうだ」
は「私たちをここに連れて、どうしようと言うのですか?」
さ「―――・・・頼む! 俺たち妖精界を平和に出来るのはもうお前たちしかいない! 頼む!手を貸してほしい!」
は「え・・・? 何を一体・・・?」
さ「妖精大汚点の野望を打ち砕くにはお前たちの力が必要なんだ・・・! 頼む・・・!」
は「そ、そんなことを言われても・・・(フラッ―――)」

バタン――――――――!

さ「お、おい! どうしたんだ!? 大丈夫か!?」
こ「おかあさん! どうしたのおかあさん!」
は「・・・・・・」
こ「おか・・・さ・・・(フラッ―――)」

バタン――――――――!

さ「え・・・ちょ、ちょっと、こはきゅちゃんまで・・・! そんな・・・!」
し「まったく、お前さんの口下手っぷりにはほとほと呆れるわい」
さ「じ〜さん!」
し「安心せい、ふたりにはちょっと眠ってもらっただけじゃ」
さ「アンタの術だったのか、脅かすなよ・・・!」
し「それよりも、ふたりを生きてここまで連れて来たはいいんじゃが、おかーちゃんの方はどうやら厄介な魔法を掛けられたようじゃの」
さ「え?」
し「このままじゃあ、どの道助からんくなるぞ」
さ「は?」



大「で、その厄介な魔法と言うのは・・・!?」
し「そこから先はワシが話そう」
大「何奴!!」
さ「じ、じ〜さん!!、いつのまに!?」
王「ま・・・まさか・・・しもん様・・・でございますか?」
さ「その声は・・・よもぎか? しばらく逢わんうちにずいぶんオヤジくさくなったのぉ」
王「ええ、その通りでございます、いやぁ御久しゅう御座います、しもんさま!」
し「よいよい、ワシはもうただのご隠居ジジイじゃ、そんなに畏まらんでもいいぞい! 何たってお前さんは今や一国の王なのじゃからな」
王「こちらへいらしたのは、ひょっとして・・・?」
し「そんなの決まっておろうが! 夕べニュースでこのドスケベ男がここに連れてかれたって聞いたからじゃ!」
大「(こ・・・このお方がし、しもん様・・・)」
し「まったくお前さんはどこまで詰めが甘いのじゃ! そんなんじゃから未だに嫁の“ヨ”の書き出しにすら入れんのじゃ!」
さ「そ、そんなのは今はカンケーないだろうが!」
し「大アリじゃバカモン!」
王「ま、まぁまぁふたりとも落ち着いて・・・この狭い部屋では落ち着かないでしょう、場所を移して改めてお話しするとしましょうか?」
し「しっかしココは何ぁんにも変わらんのぉ〜・・・たまには模様替えでもして気分転換をする方がエエぞ、ルーチンな生活ばっかりじゃアソコもルーチ・・・なんつってww」
さ「バカなこと言ってんじゃねぇ、エロジジい!」
し「あの赤毛の幼女は――」
さ「だからそれだけは止めてくれって!!」
王「と、とりあえず行きましょうか、お茶の手配を致しましょう」
し「おう! では久々にたうんの白紅茶が飲みたいのぉ」
王「かしこまりました!」
し「あのお茶は最近になってたうんの繁華街でも高級品として指定されたらしくての、ワシの好みのお茶をよりによって・・・最近はちと買い難くていかん」
さ「・・・ったく図々しいジジイだ」
大「お、王様が下手に・・・( ´゚д゚`)」




ち「あ、来た来た・・・! 遅いぞ〜のえるぅ!」
の「ゴメンね、ちょっと準備に手間取っちゃったわ――あれ、きららは?」
ち「言いだしっぺのアイツがビリっけつだ」
の「あら、めずらしいわね? 今日はきららに合わせて来たつもりなんだけど」
ち「今日はきららが罰ゲーム!」
の「罰ゲームって・・・まだ約束の時間まで十分あるんだからいいじゃない」
ち「何のお菓子にしようかなぁ・・・?」
き「(お〜〜〜〜〜〜〜い!!)」
の「きららだわ」
ち「遅ぇ〜ぞ、きららぁ!!」
き「みんな早かったな、今日はのえるに合わせて来たつもりなんだけど」
ち「向こうに付いたら罰ゲームな!」
き「は? 何だよ罰ゲームって?」
ふ「揃ったかい?」
の「ハイ、お待たせしましたっ!」
ふ「じゃ、行くよ――」
の「こはきゅちゃんに変わってオーオーっ!」
き「・・・え?」
ち「のえる・・・?」
の「・・・似合わないかなぁ・・・やっぱり(。´v`)」
ふ「ハイハイ、さっさと乗った〜!!」




(ブロロロロロ――――)
の「あ、あの、おばさま・・・」
ふ「ん? どうした?」
の「運転中に野暮な事訊いてしまうようで恐縮ですけど・・・」
ふ「こはきゅちゃんやお母さんのことかい?」
の「え、ええ・・・」
ふ「フゥ・・・ホントはね、アンタら子供たちが首をつっこむべきじゃないとは思ってはいたんだけどね・・・夕べのニュースを観てから尚更そう思ったよ」
き「・・・分かってるさ・・・分かってるケドよ・・・でも・・・!」
ふ「アンタたちの気持ちはよく分かるよ、友達の――こはきゅちゃんを放っておけないってのもね・・・」
の「・・・おばさま・・・」
ふ「でもそれはアタシにとっても同じことが言えるかも知れない――だから、ここからは」
き「ここからは?」
ふ「共犯ってコトでとらんぷたうんに行くよ!」
き「ヨッシャ! そう来なくっちゃ!」
ふ「ちゅにんくんもいいね!?」
ち「オイラ、おなか空いた・・・」
の「あらら・・・(;^ω^)」
き「・・・相変わらず緊張感無ぇな(#`Δ´)」
ふ「前もって言っておくけどさ」
き「ん、何?」
ふ「今回ばかりは下手に首を突っ込むマネはしないでおくこと」
き「え?」
ふ「アタシたちはあくまで“とらんぷたうんに買い物をしに来た”と言うことにしておこうって言いたいの」
の「分かりました、約束します」
ふ「無論、アタシ自身にも言い聞かせてるつもりだよ」
き「分かってるって!」
ふ「ちゅにんくんだっけ? 君もいいね?」
ち「ん? うん、オイラは美味しい物が食べられればそれでいいや」
き「(・・・やっぱ、コイツを連れて来たのは失敗だったか・・・?)」
ふ「暑くなってきたね、窓開けてもいいかい?」
の「あ、はい」
き「前来た時は山道のあたりで吹雪いてたっけな」
ち「そうなの?」
き「うん、積もるほど長くは降らなかったけどな」
ち「へ〜、でも前回行ったのってつい最近じゃなかったっけ?」
き「そうなんだけどさ、今年はちょっと異常気象かもな」
ち「でも今日はちょうど気持ちいいな♪・・・おべんと持ってこればよかった(´・ω・`)」
の「うふふ♪ ちゅにんくんの胃袋は健康そのものね」
ち「エッヘンっ!(*´σー`)」
き「何の自慢にもなりゃしねぇ・・・」
ふ「この先を山越えしたらもうすぐだ、今日は天気がいいから早く着くよ!」
ち「とらんぷたうんかぁ〜・・・初めてだから楽しみだなぁ」
き「え、そうなんだ! お前ん家は裕福だからしょっちゅう行ってるかと思った」
ち「とらんぷたうんは実は無いんだなぁ〜」
の「う゛〜〜〜〜〜〜ん、今日のこの陽気に後押しされて、いい収穫になるといいなぁ〜〜〜」
ふ「(・・・いい収穫・・・か・・・さくらさん・・・アンタ一体何を遣らかしたんだい・・・?)」




王「さて、どこまで話したんだったかな?」
大「はーつ殿に掛けられた魔法とやらでしたかな?」
王「おう、そうだったそうだった――で、さくら殿、はーつ様に掛けられた魔法と言うのは・・・?」
さ「・・・じーさん・・・・・・いいんだな?」
し「ワシは構わんよ、今のところ、この先に対する可能性が無くなったわけじゃないからのう」
大「可能性?」
さ「・・・・・・」
し「言い難いのか? それとも説明出来んのか?」
さ「・・・・・・く・・・!」
王「さくら・・・大丈夫だ、このことは我々以外の妖精には口外しない、約束しよう」
さ「分かりました・・・話します・・・!」



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