★だい21わ:しんじつ★


の「はい、もしもし? きらら?」
き「(あぁ、ふらわおばさんに掛け合ったんだけどさ、オーケー貰ったよ!)」
の「そう! で、いつにするの?」
き「(学校があるから今度の休みにしよう、ちゅにんにもさっき連絡しといた)」
の「りょ〜かい、こはきゅちゃんは?」
き「(いや・・・今回は止めとこう、お母さんのこともあるし、それに・・・アタシはあそこに連れてっちゃマズい気がするんだ)」
の「うん・・・そうね、わかったわ、じゃあそうしましょう」
き「(・・・・・・な・・・えぇ!?)」
の「きらら?」
き「(ちょ・・・のえる、テレビつけろ、テレビ!)」
の「テレビ? ちょっと待って――何チャンネル?」
き「(えっと・・・2106チャンネル!)」
の「2106ね?」

(ピッ―――)

*「―――さくら氏は話しています―――続いては道路交通情報です―――」
の「さくら氏?」
き「(のえるも見たことあるだろ? める姉に時々ちょっかい出してる運送屋のオヤジだ! アイツいったい何やらかしたってんだ!?)」
の「分からないけど・・・ニュースは何て言ってたの?」
き「(アタシもチラっとしか見れなかった、でも一瞬こないだのデカい花が映っていたような・・・)」
の「え?」
き「(どうなってんだ!)」
の「さ、さぁ・・・そんな急に言われても分からないわよ」
き「(何かムチャクチャな出来事ばっかりだな、さっきもあちこちで車が突然爆発したとか・家が放火で全焼とかろくでもないニュースばっかりだし)」
の「とりあえず明日詳しく話しましょう、誰かニュースを見ているかも」
き「(そうだな・・・確かに今ジタバタしててもしゃあねぇ、明日だ、明日)」
の「うん」
き「(じゃな、お休み)」
の「お休みなさい」

・・・・・・

の「ふぅ・・・一気に疲れちゃったわ・・・寝よ・・・」




*「さて・・・洗いざらい全部話してもらうぞ・・・!」
さ「いいんだけどさ・・・その前にこれだけは約束してくれ、俺以外の連中には手を出さないと――」
*「それは貴様の供述次第だ、さっさと話せ」
さ「供述って・・・はぁ、分かったからそんな急かすなってば」
*「ふん! では始めるぞ――」
大「待つのだ!」
*「だ、大臣? いかがなされました?」
大「その話、王様が直に聞きたいとのことだ、王室に連れてまいれ」
*「え・・・しかし、コイツは――」
大「急ぐのだ」
*「は・・・かしこまりました・・・」
さ「・・・・・・」

***

王「む、来たか・・・?」
*「王様、被告を連れてまいりました」
さ「被告ってなんだよ・・・オレがいつ犯罪犯したってよ!?」
*「黙れ!」
さ「何だよ、その上から目線・・・!」
王「ご苦労。では大臣以外のみんなは下がってよいぞ」
*「はっ!」
さ「へへ、お膳立てと思って来たはいいけど、アイツらエラい剣幕じゃねぇッスか、一体あのバカどもに何を吹き込んだってんだ」
王「兵士たちが粗相をしてしまったのであれば、ワシが代わって謝罪をさせていただこう・・・すまなかった」
さ「ったく・・・もっとしっかり教育してくださいよ・・・!」
大「王様・・・一体こやつに何が――」
王「まぁ黙って聞いていれば全てが分かる、今後のワシらのすべきことも含めてな」
大「すべきこと?」
王「では改めて・・・久しぶりだな、さくらよ」
さ「王様もお変わりなくお元気でなによりです」
大「(さくら・・・そう言えばどこかで聞いた名前だ・・・)」
王「うむ――さて、お主が話す前にまずはこれまでの情報から得たワシの推測と見解から話しておこう、お主の知っていることはそれからにしてもらうとしよう・・・よいかな?」
さ「ええ、お構いなく」
王「では―――まず、お主の目的は・・・ザックリ言うと、失われつつあるふぇありぃとらんぷの血を再び呼び起こすというもの。それと・・・妖精大汚点の根絶・・・だな?」
さ「・・・へへ、さすが王様だ・・・! ほかのヤツらと違って話が早く進みそうだ」
王「今の王族・兵士を含めて相手の魔力を察知できるのは、もうワシとお主ぐらいしか居らんだろうからな」
さ「別に俺らだけじゃないですよ、魔力を感じ取れるのは」
王「何と! まことか、それは?」
さ「星際期間の教師や生徒たちも今は日々ちゃんと訓練を積んで、中には俺を超えるレベルの妖精もチラホラ居ますよ」
大「!?」
王「そうなのか・・・それは知らなんだ・・・」
さ「立場上、あんま外に出られないってのも分かりますけど、いくら昔と違って落ち着いたからってこんな中途半端なレベルばかりの妖精をいつまでもこんな小っさい城に従えているってのはどうかと思いますよ」
大「貴様・・・!! 口を慎め!!」
さ「慎めったって、王様がここに来て話せって言って俺を連れてきたんでしょ? それを遮る権利があなたにありますか?――この際だからはっきり言わしてもらう・・・こんな生っちょろい軍事力になり下がったとはお笑い種も甚だしい! アンタや王様を筆頭にな」
大「き、貴様・・・どこまで侮辱する気だ・・・!」
王「まぁまぁよいではないか、すまんが大臣、そのまま彼の話を聞いていて欲しい―――これからワシとさくらが話すことは、多分ワシらや住民たちにとっても知っていて損は無い重要な話だ」
大「重要な・・・?」
さ「ま〜そう言うこった、大臣さんよ! では王様、続けて下さい」
王「うむ――、ワシも薄々感付いては居たのだが、下手に事を荒立てて住民たちを混乱させるわけにはいかない、なのでちゃんと確信してから行動に出たかったのだ」
さ「妖精大汚点の残党が本当に居るのかを?」
王「左様」
大「(妖精大汚点なんて、50年前の戦争ですべて排除したとばかり思っていたのだが・・・違うのか?)」
さ「王様の言う通り、妖精大汚点の残党は今も虎視眈々と世界を丸めこもうと考えてますよ」
王「む・・・!」
さ「現にここ最近、不可解な事件ばっかり起こってる。ニュースでも毎日毎日ウンザリするくらい流れてて、その度に現場検証に向かっている兵士たちが何の解決の糸口も得られないまま帰ってきている――今の若い住民たちは知らないのかも知れないけど、白昼堂々あんなテロ行為を繰り返せるのはヤツらしか考えられない」
大「・・・・・・」
さ「そりゃ〜昔と違ってゴーストタウンの密集地帯ではなくなったけど、それでもまだ所々は不気味な連中が蔓延っているんだ――俺は今の職業柄色んな所を廻って現地の妖精との口コミで必然的にたくさんの情報が入るんですよ、時々ですけどさっき話した不気味な地域にも足を運びます」
王「それにしても、もしまだ残党が居るとなると・・・ヤツらの数と闘うレベルは今の段階では未知数・・・最悪、ワシらが手を焼いてしまうほどの――」
さ「手を焼く? 何を呑気な事言ってんスか? アイツらがその気になればこんなトコなんてたちまち焦土ですよ」
大「く・・・・・・」
王「では、今のままではワシらとてこのまま指を咥えて見守るしかないと・・・?」
さ「その前に王様―――はーつとその娘が殺された事件のこと、覚えてますか?」
王「唐突だな? もちろん覚えているとも・・・あの忌まわしき事件は忘れたくても忘れられない・・・」
さ「俺は思ったんです・・・彼女たちさえあの時殺されずに済めば、ふぇありぃとらんぷはもちろん、そうでない俺たちにとっても希望の光はもっと長く続いた――、あわよくば妖精大汚点を根絶することも可能だと」
王「・・・そうだな・・・しかし今はもうなぽれ・ほいすと兄弟らいないことを知った後は精神的にもそうとう参っていたと聞く・・・どちらにしても夢物語だろう・・・」
大「とすれば、唯一残ったダイヤを司るふぇありぃとらんぷに白羽の矢が立つところでしょうが、仮に生きているとしてもずいぶんご高齢のはず・・・どちらにしても――」
さ「そのダイヤのふぇありぃとらんぷは今も健在ですよ」




母「ハァ、ハァ・・・」
こ「おかあさん、だいじょうぶ!? おじさんよぼうよ!」
母「こはきゅ・・・ダメよ、おじさんは今・・・――」
こ「だってこのままじゃ、おかあさんが――」
母「大丈夫・・・お母さんは平気よ」
こ「おいしゃさんよぼうよ、こないだきららおねえちゃんがおしえてくれたんだっ! しょうてんがいをぬけたところにおいしゃさんがいるって! こはきゅ、れんらくさきもしってるよ、だから・・・!」
母「大丈夫だから心配しないで・・・ぐっすり寝てれば治るから・・・ね?」
こ「おかあさん・・・」
母「さぁさ、カゼがうつっちゃうとこはきゅもコンコンさんになっちゃうわよ?」
こ「・・・うん・・・わかった・・・つらくなったらちゃんとこはきゅをよんでね?」
母「うん、ありがとう・・・」

パタン―――

母「・・・白詰草、指輪・・・あとは・・・あとは・・・」


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