★だい18わ:きんきゅうかいぎ★


こ「よぉし・・・もういっかい!がんばるぞぉ〜!」
み「こはきゅちゃん・・・」
こ「ん、なぁに、みるふぃちゃん?」
み「あなた、本当にお母さんを助ける気、あるの?」
こ「え?」
み「ふたりのふぇありぃとらんぷの血を受け継いでいるはずのあなたなのに、なぜ今さら基礎から習う必要があるの?」
こ「みるふぃちゃん?」
み「トボけたってムダよ、私はあなたが前に住んでいた星のことも全部見てきているの、もちろん、あなたの身にこれまで起きたことや、お父さんやお母さん、国のやってきたも全てね」
こ「え・・・みるふぃちゃん? なにをいってるの?」
み「何をって・・・・・・ ――ウソでしょ?・・・本当に何も覚えてないとでも言うの?」
こ「おぼえてるってなにを???」
み「・・・まさか・・・いや、そんなことは・・・」
こ「??」

み「・・・じゃあ質問を変えるわ、その指輪は一体どうやって手に入れたの!?」
こ「ゆびわ・・・? これ?」
み「そう! 間違いない、その指輪は選ばれた妖精の証! 緑色だから多分クローバーを司る・・・」
こ「くろーばー?」
み「・・・本当に自覚無いの? あなたは大魔法使いの末裔なのよ」
こ「だいまほう・・・? まつえいってなぁに??」
み「・・・ハァ・・・これ以上引っ張っても今はムダみたいね・・・もういいわ、続けましょう・・・」
こ「・・・う、うん・・・・・・」

ち「みるふぃ、なんかこはきゅを怒っているみたいだぞ・・・」
き「こはきゅのヤツ、何か余計なことでも言っちゃったのかな?」
の「おとなしそうな子に見えたんだけどね」
ち「・・・きららみたい」

(ガツン、ガツン――☆*★*☆)

ち「・・・(@д@;)・・・」
の「うゎ・・・2発・・・」
ち「コ・・・コブが・・・コブラツイストぉぉぉ・・・(;@д@)・・・」
き「フン、いっつもいっつも一言多いんだ、バカ!(#`Д´)」

め「・・・・・・・・・」




き「んあぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜やっと今日1日が終わったぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜」
ち「もう夕方なのにまだ暑いなぁ・・・オイラ、きららんトコ寄ってバニラとチョコのソフトクリーム食べてこうかな」
の「2つも食べるの・・・?」
き「ん、別にいいけどもうすぐ晩ごはんの時間だぜ」
ち「はっ! それがあったか・・・!」
き「・・・アホか、このブラックホールめ」
の「それにしても、何だかちょっと不思議な子だったよね」
ち「何が?」
の「みるふぃちゃんよ」
ち「え?」
の「たぶん、こはきゅちゃんと同じ年くらいだと思うけど、見た目と違って雰囲気が・・・何と言うか、少し大人っぽいと言うか・・・」
ち「そう言われて見ればオイラもチラチラ見てたけど、魔法も基礎はちゃんと出来てたっぽかったよ」
き「さすがめる姉一家はみ〜んなただモンじゃないな! アタシもちゃんと見た記憶は無いけど、おじさんもおばさんも相当の魔力の持ち主らしいからなぁ・・・こりゃぁ、アタシたちもウカウカしてらんないかもな・・・・・・今日はネタも豊富だったし、ちゃんと日記書こっと」
の「でも先生は“私は関係ないわ”って言ってたけどね――ただの謙遜かしら?」
ち「あれ、そう言えばこはきゅは?」
の「こはきゅちゃんは放課後になったらまっ先に帰って行ったわよ」
ち「何か急ぎの用事かなぁ?」
の「お母さんが心配なんじゃない? まだカゼが完治してないみたいだし」
ち「そうかぁ・・・早く治るといいね」
の「うん・・・」
ち「今度、お見舞いにでも行くか?」
き「・・・いえ、それは止した方がいいと思う・・・多分」
の「何で?」
き「前にふらわおばさんとこはきゅと国に行った話ってしたっけ?」
の「うん、確かあの巨大なお花事件が起こる前だったよね?」
ち「またオイラの知らないことかよ・・・」
き「あの時、こはママに帰りが遅くなるのを車の移動電話で伝えたんだけどさ、そん時の会話から察するに・・・あのお母さん・・・あんま近所と関わりたくない感じだったし」
の「そうなんだ・・・」
ち「こはママはこはきゅがこの村に来てすぐン時に1度見ただけだったな(グゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜)」
の「ちょ・・・! やだまさか、オナラ・・・!?」
き「ブラックホールが警報放ってんだろ、時間も時間だしな」
ち「・・・(;´Д`)・・・―――お、オイラおなか空いたから帰るわ! ま、また明日な!」
き「おぅ、じゃあな!」
の「さようなら〜」

き「・・・なぁ、のえる」
の「ん、何?」
き「今度の休み、とらんぷたうんに行こう」
の「え? いいけど急にどうしたの?」
き「前回はのえる行けなかったろ?、それに」
の「それに?」
き「どうしても確かめたいことがある」
の「確かめたいこと?」
き「・・・こないだ図書館に行った時に仕入れた資料ととらんぷたうんにあった展示がどうも引っかかってな」
の「確かに図書館だけでは何となく物足りない気がするのは分かるけど・・・で、確かめたいことって何?」
き「いや・・・アタシも引っかかってるだけで具体的には―――・・・こないだ行った時はのえるは居なかった――だから今回はのえるが居てくれればすごく心強い・・・空いてるか?」
の「う、うん・・・私は大丈夫だけど」
き「それとちゅにんも連れてく」
の「ちゅにんくんも? またすぐ“おなかすいた〜”ってならないかなぁ?」
き「アイツんちは裕福だ、およそ小遣いと言えないレベルのを持っているはずだから何かあっても食いっぱぐれの心配は無い、それに」
の「・・・な、なんかカツアゲ前の不良みたい・・・それに?」
き「もしかしたらバケモノの花事件のことを思い出してくれるかもしれない」
の「・・・!」
き「可能性は低いかも知れないけど、でもこはきゅと一緒に最後まで居たのはアイツだけだ、ちゅにんが何か思い出してくれたならばもしかしたら――・・・」
の「なるほどね――」
き「それと、こないだアイツにも資料見せたろ? 図書館で仕入れたアレ」
の「うん」
き「それも持ってとらんぷたうんに行けばもっと確かになるはずだ!」
の「うん、それはいいんだけどちょっと待って、私たちだけでどうやってたうんに行く気? 歩きはもちろん、空を飛ぶにも遠すぎるし、あの辺って気候も変わりやすいでしょ? 私たちだけじゃ体力が持たないわ、それこそ誰かの車にでも乗せてもらうでもしなくちゃ・・・」
き「またふらわおばさんに連れてってもらう」
の「お花屋さんトコの?」
き「あぁ、おばさんもこはきゅやお母さんのことを気に掛けていたみたいだし、きっと話を聞いてくれるはずだ」
の「うん」
き「明日、あたしがおばさんに行けるかどうか掛け合ってくるわ」
の「わかった、お願いね」




み「ただいま」
ら「あらおかえりなさい、みるふぃ、お姉ちゃんはまだお仕事?」
み「うん校長先生と何かずっとお話していたから先に帰って来ちゃった」
ら「そう・・・で、あんたの“思惑”とやらはどうなの?」
み「うん・・・間違いないと思う・・・ただ・・・」
ら「ただ?」
み「どうやって生き延びてこれたのか、それだけが分からない・・・」
ら「・・・・・・ふぇありぃとらんぷの末裔の子は?」
み「あの学校は小さくて3クラスしかなかったわ――で、うまいこと同じクラスメイトになったんだけど・・・」
ら「そう、で・・・肝心の指輪は?」
み「例の指輪は確かに付けてたけど、魔力ははっきり言って初心レベルどころじゃない・・・ホントに酷いモンだわ・・・」
ら「ふぅん・・・そうなんだ・・・」
み「それに、ふぇありぃとらんぷの娘だって言う自覚もないみたい、おかげで会話にならなかったわ」
も「ただいまぁ」
み「おかえり、パパ」
ら「おかえりなさい、あなた」
も「おぉ、みるふぃも帰ってきたのか、そらお土産だ☆」
み「? 何、これ?」
も「市場でしか取れない花の種だ、コイツを植えるとキラキラの花が育つんだとさ」
み「キラキラの・・・? 魔法の白詰草みたいな?」
も「シロツメじゃないけどな」
み「ふぅん・・・ありがと」
ら「で・・・とらんぷたうんはどうでした?」
も「うん、思ったより活気付いた街だったね、この辺の商店街よりもよっぽど品揃えは良さそうだったよ」
ら「そりゃあ、お城の城下町ですものねぇ・・・ねぇ、今度のお休みにみんなでたうんに行きましょうよ!」
も「そうだなぁ、せっかく帰って来て、めるてぃも加わって、やっと家族揃ったことだし、めるてぃの都合次第になるかも知れないけど、たまにはパッと羽を伸ばすのもいいかも知れないな」
み「(よく言うよ・・・休みの日は1日中ゴロゴロしているクセに・・・)」
も「な! みるふぃ?」
み「え? え、ええ・・・」
も「よし、決まった☆ 後はめるてぃが帰ってくるのを待って、家族水入らずでお出かけだぁ〜〜!!」
ら「あらあら♪」
み「(・・・まったく、パパは呑気でいいなぁ・・・)」




校「蒼き星の白詰草・・・?」
め「はい・・・それが無いと病気は治らないそうです」
校「そうですか・・・それは由々しき問題ですね、私も初めて聞きましたよ・・・そんな病気があったなんて」
め「ええ・・・」
校「で、蒼き星に行って花を確保したい・・・と」
め「はい」
校「ふぅ・・・簡単に仰いますねぇ・・・」
め「やはり・・・不可能なのでしょうか?」
校「ふむ・・・めるてぃ先生ともあろう方が、らしくない発言と思いましたよ正直・・・・・・分かっていると思いますが、蒼き星はここのように穏やかな星ではありません、聞けば今もなおあちこちで内乱や紛争が絶えず起きているとのこと・・・そんな状況下である星に簡単に行けると思わないことです」
め「ですが・・・!」
校「別にお母さんを見殺しにしろと言っているわけではありません―――でも・・・今言った情勢のことも然り、それ以前に我々の魔力レベルでは到底蒼き星に行くばかりか、この星を発つことさえ不可能なのはご存知ですよね?」
め「・・・・・・」
校「かつては確かにこことの架け橋が実際に存在してはいましたが、それも昔のこと・・・今となっては科学力を除くほとんどがずいぶんと基準の低いレベルになり下がったもの・・・」
め「科学力・・・?」
校「そう・・・私たちが今こうして使っている道具や建物・発明のほとんどは蒼き星に住むニンゲンの知恵によって生み出されたもの」
め「え・・・!?」
校「見た目はこの星とそう大した変わりはないでしょう・・・ただ、私たち妖精よりもはるかに体が大きいから道具もきっとそれ相応に大きいのだろうけど――」
め「はぁ・・・そうですか・・・」
校「で、ここからは本当はあまり口にはしたくなかったのですが・・・」
め「・・・? どういうことです?」
校「いや・・・もし私が今抱えている胸騒ぎが本当だったら取り返しのつかない事になるかも知れない・・・私の責任ですべてを話しておきましょう・・・その代わり、心して聞いて下さいね」
め「(ゴクリ)・・・・・・は、はい・・・!」
(ガラガラガラ――――)
*「あれ、校長先生? めるてぃ先生も」
*「今日はまた随分早かったんですね?」
校「ちょうどいい、この際だから教師全員周知で今後は対応すべき頃合かもしれない・・・よし、みなさんが集まり次第緊急会議としましょう、それまで休憩としましょうか」


***


校「では改めて・・・みなさんお疲れ様です」
*「お疲れ様です」
校「さっきめるてぃ先生には少しだけ話しましたが、私たちが今使っているこの筆記用具も、壁面のホワイトボードも、毎日流れる放送機材も、私たちが着ている服も、化粧品も、お家にある物のほとんど、周囲に点在する施設もみんな・・・蒼き星の知恵を借りたもの、そこまでお話しましたね、めるてぃ先生?」
め「はい」
*「蒼き星の知恵・・・?」
*「オレたち妖精族が作ったんじゃないのか?」
校「でも蒼き星の作り上げてきた物は、残念ながら平和のため、日々の暮らしのために作られたものばかりとは限りません」
*「どういうことですか?」
校「ニンゲンも我々妖精族も、残念ながら過去、その余りうる知恵が正しいことに使われなかったことがあるのです、では使われた物とは・・・?」
め「・・・兵器・・・ですか?」
校「ご名答。向こうでは“爆弾”や“ミサイル”と言う兵器などが存在します」
*「・・・何か、禍々しい言葉だな」
校「そして、一番使ってはならない最も恐ろしい兵器もまた、存在します」
*「最も恐ろしい・・・ってどんなだよ・・・!?」
校「それは、“核”と呼ばれる破壊兵器です」
め「カク・・・?」
校「核と言われる兵器がその昔、蒼き星の大きな争いの最中、とある国の2ヶ所に投下されました」
*「(ゴクリ・・・)」
校「さて、どうなったと思います?」
*「そりゃあ、たくさんの住民が・・・やられたんだろ・・・?」
校「今からこの映像をご覧いただきます・・・この映像は私が若い頃、教師になりたての頃にある教育施設で入手した実際の映像です、今は凄惨すぎて普通の教育現場ではまず見せることは無いのですが、我々が今置かれている状況を鑑みて、あなたがた若い教師が知っておいて損は無いと思い、今回は私の一存で特別にお見せすることにします・・・でもその前に」
め「?」
校「覚悟はいいですね・・・?」



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