★だい15わ:こはきゅとおかあさんとさくらおじさん★


ち「ついこないだまで寒いと思ったら、急に暑くなったよなぁ〜」
の「うん・・・今日は上着は要らなかったかな?」
ち「今までこんな季節の流れ方あったかなぁ〜? 何だか春が無くなっちゃったみたいだよ」
の「春が無くなった・・・かぁ・・・」
き「ほれ、クローバー味の出来たぜ」
ち「サンキュっ」
き「あ〜あ、、、明日からまた学校かぁ・・・連休明けって何でこんな憂鬱なんだろうなぁ・・・」
ち「どうせ、授業がかったるいとか言いたいんだろ?」
き「ふぅ・・・」
の「・・・・・・」

・・・・・・

ち「あれ(いつものツッコミが来ない・・・?)ふたりともどうしたんだ・・・?」
き「・・・・・・あぁ、何でもないんだ・・・・・・」
ち「何でもなくはないだろ、悩みだったらオイラがちゃんと相談に乗る!」
き「・・・いや、そう言うんじゃないんだ」
ち「どう言うんだ? きららは特に最近ヘンだぞ、こないだのスケッチの時から」
き「スケッチ・・・」
の「スケッチ・・・」
ち「・・・な、何だよ、ふたりとも?」
き「・・・」
ち「・・・?」
の「・・・」
ち「なぁ、そういや、こはきゅはどうしたんだ? まだ来てないっぽいけど――」
き「・・・」
ち「おい!!」
の「あ、うん・・・こはきゅちゃんはね、お母さんが体調崩しちゃったらしくて、看病しなくちゃいけないから今日は来れないって」
ち「・・・そっか、こはきゅは欠席か・・・・・・なぁ、ふたりとも何でそんなに塞ぎ込んでるんだよ?」
き「別に塞ぎ込んじゃいねぇよ」
ち「んじゃ、さっきから何でそんなにダンマリなんだ?」
の「・・・ちゅにんくん、こないだのスケッチの日に起きたこはきゅちゃんとの出来事、ホントに覚えてないの?」
ち「え・・・? あ、あぁ・・・オイラは覚えてない――覚えてないけど、それが何か関係あるのか?」
き「そこで、だ」
ち「え、何だよ急に?」
き「おととい、のえると一緒に商店街を抜けたトコのデカい図書館に行ったんだ」
ち「あぁ、あのキレイなトコ・・・中央図書館だったっけ? オイラもたまに行くよ」
き「いいか・・・心して聞けよ・・・!」
ち「へ・・・?」
き「あたしたち・・・知っちまったんだ・・・!」
ち「へ? ・・・何を?」




母「ケホケホ―――」
こ「だいじょうぶ!? おかあさん・・・!」
母「大丈夫よ・・・寝ていれば治るわ・・・」
こ「でも・・・ぜんぜんおねつがさがらない・・・」
母「うふふ・・・こはきゅも心配性ね、誰に似たのかしら?」
(コンコン――)
こ「え・・・は、はい、だぁれ・・・?」
さ「具合はどうだ?」
こ「おじさんっ!」
母「兄さん・・・すみません、わざわざ・・・」
さ「今朝になってお母さんの魔力が異常に落ちているのを感じてやって来たんだが、まさかこんなに早く症状が出始めるとはな・・・!」
こ「おじさん・・・おかあさんのコンコンさんがなおらないの、たすけてあげてっ!」
さ「こはきゅちゃん・・・」
母「ケホケホ――」
さ「ちゃんと食事は取れてる・・・とは到底言えないな・・・ほれ、あんまり旨くはないだろうけど、お粥作ってきたんだ、少しでも口に入れといたほうがいいだろう」
母「ありがとうございます・・・」
さ「こはきゅちゃんも腹減ったろ? ゲンキなこはきゅちゃんには、ほれっ」
こ「あ、おむすびだ☆ これもおじさんがつくったの?」
さ「おうっ、味は・・・ま、保障出来ないケドなw」
こ「わぁいっ、ありがとう〜おじさんっ、んじゃいっただきまぁす♪」
(モグモグ――)
こ「ん〜っ、おいしい♪」
さ「ホントかぁ、お愛想で言ってんじゃないだろうな?」
こ「おあいそ?」
さ「ハハ・・・そっか、お愛想ったって意味分からんかぁ」
こ「そんなことないよ、とってもおいしいよ♪」
さ「へへ、アリガトな、こはきゅちゃん」
こ「えへへ♪」

******

こ母「(スゥスゥ――・・・)」
さ「・・・ふたりともよくがんばったな・・・さて、あとはここでパッと食えるモンでも買い置きしとこうかな」
(ピンポーン――)
さ「ん、誰だ?」
(ガチャ)
さ「はいはい?」
ら「ごめんくださいませ――あら、社長さんではありませんか?」
さ「これはこれはらいむぎ夫人にもろこし主人っ、おかえりなさいませ!――はて、そちらのお子さんは・・・?」
も「みるふぃです、覚えていらっしゃいますか?」
さ「みる・・・あぁ! あの時の・・・! そうかそうかぁ、随分大きくなったねぇ〜」
み「・・・・・・」
さ「はじめまして みるふぃちゃん、さくらおじさんだよっ」
み「さく・・・ら・・・?」
さ「よろしくねっ」
み「よ・・・よろしく・・・」
ら「ゴメンなさいね、誰に似たのやら、とにかくはにかみ屋さんですのよ」
さ「そっかぁ〜、みるふぃちゃんはとっても恥ずかしがり屋さんなのかぁ〜」
み「(*ノノ)」
さ「ハハハ、でも小さい頃のめるてぃちゃんそっくりだ♪」
も「ところで、色々バタバタしてたものでして、ご挨拶が遅れてしまって大変恐縮ですが・・・」
さ「いえいえ、とんでもないですよ、わざわざご足労くださいましてありがとうございます」
ら「社長さんは今はこの別荘にお住まいですの?」
さ「いえ、今は私の親族が住んでいるんですが、ちょっと体調を崩してしまいましてね・・・で、ちょっと様子を見に来た所だったんですよ」
も「そうだったんですか・・・ではまた日を改めてご挨拶としますかな――あ、でもせっかくですのでこちらを・・・つまらないものですが」
さ「わざわざありがとうございます」
も「それでは、失礼いたします、お大事に為さって下さいとお伝えください」
さ「かしこまりました」

(パタン――)

さ「こんなにたくさん・・・こりゃあ買い置きの必要は無いかな・・・?――さて、と・・・」
母「誰かいらしたんですか?」
さ「はーつ・・・! おいおいダメだろ、ちゃんと寝てなくちゃ・・・!」
母「大丈夫です・・・それより、今どなたかいらしたんですか?」
さ「あぁ、めるてぃちゃんトコのご家族が帰ってきたんだ、引っ越し祝いでもないのにわざわざ差し入れまで下さってな、ホレ、こんなに」
母「めるてぃ先生の・・・? そうですか・・・ゴメンナサイ、私がこんな状態なばかりに・・・」
さ「気にすんな、それより部屋に戻ろう、またぶり返したら大変だ」

******

母「私・・・薄々気付いています・・・このままではきっと助からな――」
さ「バカなことを言うんじゃない・・・! 諦めるのはまだ早い」
母「でも・・・兄さんも分かっているんでしょう? 私の病気は普通のじゃないという事を――」
さ「だから諦めるのか?」
母「・・・」
さ「何のためにここまでやってきたのか、忘れたわけじゃないだろ?」
母「それは・・・もちろん・・・」
さ「だったら、最後まで掛けてみろよ、ここまでお前とこはきゅちゃんを導いてくれたみんなのためにも」
母「・・・・・・」
さ「黙ってても仕方ないから、この際はっきり言わせてもらうぞ・・・いいな・・・!」
母「・・・はい、お願いします・・・!」
さ「うむ――・・・残念だがお前の言うとおり、そっちの世界はもちろん、こっちでも助かる病気ではない」
母「・・・・・・」
さ「このまま放っておけば3年・・・長くても4年ってトコだ」
母「4年・・・」
さ「このままでは・・・の話だ」
母「・・・え?」
さ「100%助からないと決まったわけではないという事だ」
母「・・・?」
さ「昨日の夜、めるてぃちゃんから電話がかかってきてな、非常に興味深い話を聞いたんだ」




(プルルルル―――)
さ「はい、もしもし――おぉ、めるてぃちゃん、珍しいな〜こんな時間に」
め「[はい・・・どうしても今お話ししたいことがあるんですが、宜しいですか?]」
さ「あぁ構わんよ――昼間の続きか?」
め「[ええ、実は私、あの後国に行ってお城の博物館にある文献を調べたんですが、白詰草に付いて気になる記事を見つけたんです]」
さ「記事?」
め「[ええ、この白詰草、私たち妖精にとっては凄い貴重な存在かも知れません]」
さ「と言うと?」
め「[ええと――・・・]」

(※)「ツメクサ」の由来

蒼き清浄の星・地球は北半球を中心に、約300種が全世界に分布されている。
数百年前、西洋の国から運ばれた器を梱包する際に、詰めものとして使われていたことから「詰草(つめくさ)」と呼ばれるようになった。
茎は地を這うように長く伸び、葉は三小葉。まれに4・5および七小葉のものがある。

重要な蜜原植物であり、クローバーの蜂蜜は世界で最も生産量が多い。葉は茹でて食用にすることもできる。花穂は強壮剤、痛風の体質改善薬などとして用いられていた。解熱・鎮痛効果もあると言われている。

さ「キョウソウザイ・・・? ツウフウ・・・? なんだそりゃ、蒼き星の連中特有の症状か? まぁいいや、それよりも解熱と鎮痛効果かぁ・・・そのハチミツとやら、相当いい薬なんだろうなぁ」
め「[まだ続きがあります、読みますね]」
さ「うむ」

四つ葉のクローバーは十字架に見立てられ、幸福のシンボルとされることが多くあるが、実際にはアイルランド民俗学上、キリスト教普及以前より、特別な物とされていた。さらに五つ葉、六つ葉、七つ葉、八つ葉、なども発見数は少ないながらも確認されている。

さ「アイルランド・・・? どっかの土地か何かか? それとジュウジカ? キリスト・・・? 何のこっちゃ??」
め「[一番肝心なのがこの後です]」
さ「お、おう・・・!」
め「[さっき読んだのとは別の資料から引っ張ってきたものなんですが、読みます]」

「詰草と魔法の干渉に付いて」

ツメクサは、我が妖精たちの間では存在はしない。
しかし、その昔、蒼き清浄の星との架け橋が通じた頃、ニンゲンには熱病などによる症状の緩和薬として常備されていたが、研究グループが治癒魔力を調合した実験を試みたところ、緩和ではなく、不治の病でさえも治してしまう特効作用を齎すと記録が出ているが、生身の妖精を媒体にしようとした罪で、後に研究グループの活動は凍結を余儀なくされた。

め「[――だそうです・・・]」
さ「何だか、ホントのような、ウソくさいような・・・で、ちなみにその記録はいつのだ?」
め「[ええと・・・およそ70年前、だそうです・・・]」
さ「70年前・・・戦争が起こるはるかに前の話か・・・」
め「[・・・・・・]」
さ「なぁ、めるてぃちゃんよ、こうは思わんか?」
め「[はい?]」
さ「あまりにムシの良すぎるハナシだけどよ、仮にそれを調合した薬が成功したとして、後の戦争に役立てられたとしたら・・・?」
め「[きっと、犠牲を免れられた妖精たちはたくさん居たでしょうね・・・]」
さ「だよなぁ――じゃあさぁ、いつ蒼き清浄の星は我々の間に悪いイメージが広がったんだ?」
め「[え?]」
さ「だってそうだろうよ、元を辿れば、蒼き星とこことを遮断さえしなければ、ここにだってちゃんとした白詰草が存在していて、今よりも病気で死んじまう妖精が少なくて済んだのかも知れないぜ」
め「[・・・それは確かに・・・]」
さ「蒼き星がどんな星なのかは俺にはよく分からん。同じ星際期間ったって、俺は直結したポジションに居ないからな―――それはそうと、だ」
め「[はい]」
さ「出来るかどうかは今は別としてだ」
め「[・・・はい]」
さ「国に認可を取ってもらって、誰か蒼き星に行ってもらって白詰草を取りに行くってのはどうだ?」
め「[え!?]」

(※一部、「Wikipedia」より引用)


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