★だい9わ:ふらわおばさんとどらいぶ★


こ「おかあさん、ただいまぁっ!」
母「おかえり こはきゅ、どうしたの、そんなに慌てて?」
こ「ふらわおばさんとおでかけ!」
母「ふらわさんと・・・? この雪なのに?」
こ「うん、いってきまぁ〜す!!」
母「・・・あ、そう・・・気を付けて行ってらっしゃい・・・。。。」

・・・・・・




こ「ふらわおばさん、おまたせしまし――あっ!!」
(ドテッ☆)
ふ「慌てんなっよって言ったのに〜・・・ちょっと待ってて!」
こ「いてて・・・」
き「お待た〜お、どしたんこはきゅ、転んだの?」
こ「うん・・・(。>_<)」
き「大丈夫かぁ?」
こ「うん、へいき」
ふ「ほい、消毒剤とバンソーコー!」
き「あ、お待たせですぅ〜」
ふ「ん、きららちゃんも来たか、ちょっと待っててよ〜ん、こはきゅちゃんの治療からね〜」
(シュッシュッ)
こ「う″〜しみるぅぅ〜(。>д<)」
ふ「ガマンガマン、そしてもういっちょ!」
(シュ――・・・)
こ「ひゃっ☆うひぃぃぃ〜(。>д<)」
ふ「はい、ちょい我慢! 乾くまでしばらくそのままね」
こ「つめたぁ〜い! あ、でもちょっときもちイイかも♪」
き「おばさんなら魔法ですぐ治せるんじゃないの?」
ふ「フフン、きららちゃんもまだまだ甘いわね、そうやって何でもかんでも魔法に頼ってしまう軟弱な子に育って欲しくないからこうしてんの!アタシたち妖精は、色んな痛みに耐えて、強く成長するものなんよ!」
き「なるほどね・・・何でも魔法に頼るなって言うことか」
ふ「そゆこと!」
こ「ねぇねぇ、そういえばどこにいくんだったっけ?」
ふ「それはこの後分かるさ! んじゃ、車出すからふたりともそこ避けて!」


******

(ブ――ン・・・)
こ「わぉ☆、はやいはやぁぁぁ〜い!!」
き「こんなに飛ばして大丈夫なのかよ・・・?」
ふ「ん〜? 何か言ったぁ?」
き「この辺ってお城に近いんだろ? こんなにスピード出したら護衛に捕まっちゃうんじゃないの?」
ふ「平気だよ、この道路は軍の専用路だもの」
こ「せんよ〜ろ?」
ふ「そ♪ お国を守る護衛さんや兵士さんたちが移動する時に使うための道路さ」
き「兵士って・・・! ちょっと待った、いくらここが空いてるからってそれはさすがにマズいんじゃ・・・!」
ふ「ん、どうしてさ?」
き「て、おばさん、兵士でも何でもないクセに勝手にココ使うなんて・・・と言うかさぁ、ホントにこれからどこ行くってんだよ!?」
ふ「アンタたちは言わば、今魔法の修行中の身でしょ? だったらこれはいい機会なんじゃないかな?」
き「・・・? ゴメン、さっぱり話が見えてこないわ・・・」
ふ「ピンと来ないねぇ、お城だよ」
こ「おしろぉ?」
ふ「そ、お・し・ろ♪」
き「し・・・城・・・!? え・・・ちょ・・・え―――!?Σ(゚口゚;」
ふ「さぁ、まだまだ飛ばすよぉ!!」
き「ええええ!!??」
(ブ――ン・・・)


き「・・・・・・」
こ「! きららおねえちゃん、かおいろがよくないよ、ぐあいでもわるいの?」
ふ「え〜? 何だい、車酔いかい? アンタも見かけによらず脆いんだねぇ」
き「いや・・・そうじゃねぇ・・・何だってまたアタシたちはお城に行くことに・・・」
ふ「だから言ったジャンか、魔法のお勉強にちょうどイイって」
き「てか、今さらながらに訊いちゃうけど、おばさんは何者・・・?」
ふ「んふふ〜、きららちゃんもそろそろ知ってもいい年頃かな? ここに越してきたばかりのこはきゅちゃんも居るけれど、どうせいずれは知ることだから色々教えたげる、アタシの昔話も交えてね」
き「え・・・?」
ふ「めるてぃちゃんはアンタたちの学校の教師であると同時に、この国の要職だってコトはもう知ってるかな?」
き「あ、あぁ・・・」
こ「しってる! こはきゅたちのガッコは、おくにがけーえーしてるんでしょ?」
ふ「ほぉ、こはきゅちゃんも知ってたんだ?」
こ「うん♪」
ふ「こはきゅちゃんの言う通り、今アンタたちが通っている学校はそこらのとはちょっと違う。寧ろ、学業どうこう言うよりは、アンタたち生徒の様々な事情が集約したと言っても過言じゃない。特にこはきゅちゃんの場合はね」
き「そう言やずっと訊きたかったんだ、こはきゅは一体どこからやってきたんだ?」
こ「んっとねぇ・・・ここよりもとってもさむくてしずかなところなの。ごきんじょさんもあまりあさのごあいさつとかそういうのはほとんどなかった。それと・・・」
き「それと・・・?」
ふ「ストップ!!」
き「うわ、何・・・?」
ふ「それ以上は訊いちゃダメ・・・!」
き「え〜何でだよぉ!?」
ふ「国に着いたら全て分かるよ・・・アタシの憶測が正しければね・・・」
き「憶測・・・?」
ふ「話を戻そうか。アタシの昔話をね・・・」
き「わ、わかったよ・・・」
ふ「と、その前に・・・こはきゅちゃん、おかあさんに電話してちょっと帰りが遅くなるって伝えてあげな」
こ「え? おかあさんに?」
ふ「あぁ、こはきゅちゃんの座ってる席の前に白い受話器があるだろ? それで通信が出来るようになってるんだ! お家の連絡先、分かる?」
こ「はい☆ わかりまぁす♪」
き「車ン中に電話仕込んでるんだ・・・おばさんもなかなかハイレベルな魔法使ってんだなぁ」
こ「ええと・・・」
(ピポパポ――)
ふ「仕事柄ね――今みたいな移動中に注文や配達依頼が入ってもいいようにこの魔法は欠かせないんだ」
き「ふぅん・・・なるほどね、荷物を持つためだけに使ってるわけじゃないんだ、おばさんトコのは」
ふ「荷物? 荷物を持つのに魔法なんて使わないよ」
き「え? んじゃあ、どやって仕入れとかしてんの? まさかお店にあるのって全部手でやってるわけ??」
ふ「そのための“きざくら”があるじゃんか」
き「きざくら運輸・・・なるほどね」
こ「ねぇねぇ、ばんご〜おしたらつぎはどうするの?」
ふ「あ、左にある緑色のボタンを押しな」
こ「みどりの・・・あ、これか」
(プップップ―――)
(*1)こ「あ、もしもし、おかあさん?―――」
き「にしても、さっき、こはきゅの話をなんで途中で止めたのさ?」
ふ「・・・分からないかい? いくらこはきゅちゃんがまだ小さいからって、辛い事はもう十分目に焼き付けられる年頃だ。せっかくアンタたちと仲良くなれて、過去の事を塗り替えようとしている時にまた掘り起こしてちゃうのはどうかと思うんだけどね」
き「過去のことったって・・・あたしはこはきゅのこと、まだよく知らないんだ・・・」
ふ「さっきも言ったろ? 国に着いたら分かるって――だからこはきゅちゃんにこれ以上話を振るな」
こ「ねぇねぇ おかあさんがおばさんにかわってくれって」
ふ「ん? アタシ? 分かった、じゃあこはきゅちゃんはそのまま受話器を持っててね」
こ「はぁい☆」
(スッ)
こ「ん? なぁに、それ?」
ふ「インカム。これを付ければ運転しながらでもお話できるんだ」
こ「じゅわきはつかわないの?」
ふ「運転しながらだと片手運転で危ないじゃん」
こ「お・・・おーおー」

(*2)ふ「もしもし、お電話代わりました―――」
き「ふぅ・・・・・・」
こ「ん? きららおねえちゃん、おつかれ?」
き「いや、そうじゃないんだ・・・あたしもこはきゅもお互い、大変だったんだなぁって」
こ「ん?」
き「あたしはば〜ちゃんしか身寄りが居なくなっちまったからここに来ただけなんだけどさ」
こ「ん?」
き「こはきゅはもっと違う理由があるのかなぁって思ってね・・・」
こ「・・・・・・」

き「おばさん、こはきゅママと何話してんだろうな?」
こ「う〜ん・・・わからないけど、なにかむずかしそうなおはなししてるよね」
き「・・・にしても、随分降ってきたな・・・何だか、季節を巻き戻しているみたいだ」
こ「まっ白でおそとがなんにもみえないね――ヘックシっ」
き「ん! 大丈夫か!?」
こ「へ〜き へ〜き☆」
き「上着ナシなもんな・・・カゼなんか引かれちゃ困るから こはきゅ、コレあげるからシャツの中に貼っとけ、肌に付けちゃダメだぞ」
こ「ん〜? これ、なぁに?」
き「カイロだ、シール剥して付けてみ、暖まるぞ」
(ペリペリ――ペタッ)
こ「こ〜?」
き「そ、だんだんカイロが暖かくなって来るんだ」
こ「へ〜、まほ〜みたい♪」
き「へへ、魔法でも何でもネェけどな」
こ「そうなの?」
き「商店街行けば、どこでも売ってるぞ」
こ「そうなんだぁ・・・あ、なんかポカポカしてきた♪」
き「だろ?」
こ「すごぉ〜い、ポカポカ〜♪」

ふ「――・・・じゃあ、質問を変えましょう、あなたたちはどうやってこの村に来たんですか?」
き「?」
こ「?」
ふ「こはきゅちゃんの居る手前、今は話し辛いでしょうから今度またゆっくりお話しましょう。あ、前以って言いますけど、別に子供たちに何かするつもりはありません、アタシもめるてぃちゃんと同じ星際機関の妖精です、決してお母さんを心配させるようなマネだけはしません、お約束します」
き「アタシも国に仕える・・・?」
ふ「それでは、失礼しますね」
(プチッ――プープープー―――・・・)
ふ「ふぅ・・・こはきゅちゃん、受話器戻していいよ」
こ「はぁい」
ふ「さ、もうすぐ到着だぞぉ」
こ「あ、ゆき、すごぉぉい♪」
き「うわ、吹雪だな〜こりゃ・・・」
こ「うわぁ・・・こはきゅもうわぎもってこればよかったかなぁ・・・?」
き「―――ねぇ、おばさん、さっきおばさんも国に仕えてるって言ったよな?」
ふ「ん? あぁ、そのことか」
き「どういうことだよ・・・?」
ふ「どうもこうもないよ、アタシはいつも定期的にここに来て商品やら備品やらを調達しに来てんだから」
き「そうじゃなくて、あたしたちをわざわざ連れてくるのは、もっと理由があるんだろ・・・?」
ふ「アンタもせっかちねぇ〜、それもこれから分かるってばさ」
き「・・・・・・」
こ「あ、なんか大っきいのがみえたっ!」
ふ「さ、着きましたよぉ♪」
こ「わぁい♪」
き「・・・・・・」


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