★だい8わ:めるてぃについて★
4がつ18にち:くもり のち はれ
めるてぃせんせいがくばったこのにっきちょう。
おかあさんにかってもらったあたらしいクレヨン。
こはきゅがこの村にきてから、なにもかもがあたらしいものばかり。
さいしょはせいいっぱいえがおでいたけれど、ほんとうはこわかった。
がっこうはいきたくなかった。
また、あのときのようにこはきゅはひとりぽっちにされるのかもしれない。
まほうでわるいことをされるのかとおもうと、こわくてしかたがなかった。
でも、ぜんぜんこわいことなんてなかった。
きんじょのふぇありぃたちはとってもやさしくて、
クラスのみんなはとってもたのしくて、
こはきゅはとってもしあわせです。
せっかくかってもらったクレヨン、なにをかこうかな。
そういえば、こはきゅはおえかきがだいすきだったのに
ずいぶんひさしぶりにかくきがする。
どうしてだろ?
あれだけだいすきだったのに、なんでわすれてたんだろ?
でも、おもいだせたからいいや!
おやすみなさいのじかんまでまだたっぷりある!
いっぱいかいたら、のえるおねえちゃんみたいにピカッとひかるのかな。
ドキドキです。
※
*「忙しいところ、ご苦労だったね」
め「いえいえ、今日は生徒にとってこれからに掛かる大事な時期ですから、先生である私がしっかりとサポートしなければなりませんからね、それにはこの会議にちゃんと参加して準備をしないと」
*「ふふ、ホントに頼もしいよ、若いのにここまで優秀な教師は過去には存在しない」
め「とんでもないです、私なんてまだまだキャリアも浅いですし、それにここにいらっしゃる皆さんは勿論そうですけれど、生徒にもいっぱい教えて貰ってますから」
*「ふふ、相変わらず謙虚だねぇ、でもそこが君の魅力でもある」
め「魅力だなんて・・・あ、もしかして私を誘っているんですか・・・? とか言ってみる(笑)」
*「ハッハッハ、それも生徒に教えてもらったことかね?」
め「地が出てしまいました・・・」
*「ハッハッハ、ユーモアも身に付けてここに帰ってきたわけだ(笑)」
め「すみません・・・(*-´ェ`-)」
*「そう言えば、君のご家族はまだ例の旅を続けているのかな?」
め「ええ、そうですね・・・今となっては私が単身赴任状態です」
*「そうか・・・と言うことは、こないだ生まれた妹さんも・・・」
め「ええ、もう赤ちゃんじゃないですよ」
*「そうかぁ・・・もうそんなになるのかぁ・・・早いものだなぁ」
め「ホントですよねぇ〜――」
*「おっと、そろそろ時間だ、行きましょうか」
め「はいっ」
※
の「ふぅ・・・自習ばっかりってのも何だか退屈だよねぇ」
こ「センセ、きゅうにガッコをお休みしちゃうなんて、カゼでもひいちゃったのかなぁ・・・?」
の「こう言っちゃなんだけど、代わりの先生だと妙に緊張したりしない?」
ち「分かる! オイラも何か変に構えちゃうというか・・・」
き「むぅ・・・」
ち「ん、どうした〜きらら、何読んでるん?」
の「進路用紙ね、まだ提出してなかったんだ?」
こ「しんろようし?」
の「うん、今年は私ときららは進級試験があるから、それに関わる事前のアンケートみたいなものかな? 将来はどんな職業を希望するのかとかを書くの。魔法の試験はみんな必須科目だけど、必ずしも魔法に関わるお仕事に就くとは限らないでしょ? 商店街のこのみ屋やふらわおばさんトコの販売系なんかは、せいぜい大きな荷物を運ぶ時くらいしか魔法を使わないけどね」
ち「めるてぃ先生みたいに魔法を教える側はまた別なのかな?」
き「う〜ん・・・」
こ「まほう・・・まほう・・・」
の「こはきゅちゃんはまだ小さいし、学校も来たばかりだからこれからゆっくり覚えるんだろうけど、私たちは今年が試験だし、ちゅにんくんも来年でしょ? あまりウカウカしてられないと言うことよ」
ち「で、きららはそのアンケのところで行き詰っていると?」
き「ん゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!!!」
こち「にゃぁっ!?/うわっ!」
き「あたしはアイスクリーム屋だけで手一杯だぁぁぁぁぁ!!」
ち「授業中だぞ、怒られちゃうって!」
の「そんなこと言っても、みんな受けなきゃならないんだから」
こ「ねぇねぇ、その“しけん”って、そんなにたいへんなの?」
き「分かるだろ・・・このあたしの真剣さを見れば・・・フヒヒ・・・ナメんじゃめぇぞ・・・試験の恐ろしさを・・・!」
こ「う・・・うん・・・」
(ポコッ☆)
の「脅かさないのっ!」
き「だってさぁ〜〜〜」
の「たかがアンケートでしょ? こんな紙切れ1枚でフェアリーライフが決まってしまうわけじゃあるまいし、こんなの思いのままにチョチョイって書いちゃえばいいじゃない」
き「そうは言うけどさぁ」
の「私もあまり言えた立場じゃないけど、きららもきららでヘンなトコで悩んじゃうよね? 別にこれ書いたからってそれ系の企業に勤めなきゃいけないわけじゃないでしょ?」
き「どうも紙で書くものって苦手なんだよな・・・」
の「よく言うわよ、普段のペーパーテストはそこそこの成績取ってんでしょ? 別に問題ないじゃない」
ち「大人って大変なんだなぁ・・・」
の「いやいや、ちゅにんくん、私たちと1個しか違わないしw」
ち「んや、そうじゃなくて、先生はどうやって、何で教師の道を選んだのかなぁって」
の「また突然だね・・・でも、う〜ん・・・言われて見れば、そうよね・・・確かにあの若さで教師って言うのも気にはなってたわ・・・」
き「める姉は国家の要職なの」
ち「国家!?」
き「知らんかったのか? ここの学校は国が経営している学校だ」
ち「そ、それは知ってるけど・・・」
き「国の直轄で動いてるから当然魔法に特化している。める姉は今のあたしたちくらいの年には既に魔法のあらゆる資格を取れるエキスパートレベルまで進んでいた。で、せっかく手にした魔力を一番活かせる場が欲しいのと、元々年下ウケがいいのと子供好きだからって言う理由で教師の道を選んだというわけだ」
ち「へ〜そうだったんだ・・・」
こ「せんせいスゴォイ!」
ち「でも、きららは何で先生のことそんなに知ってんだ?」
き「うん? 話してなかったっけ?」
の「あれ、ちゅにんくんは知らなかったの? きららは先生とは一番付き合い長いんだよ」
き「そっか、ちゅにんやこはきゅには説明してなかったっけ・・・? でも、これは話したら長いから今度またゆっくりな――・・・あ、そう言えば今日だったか、める姉の家族もぼちぼち帰って来るんだっけ」
の「家族? 先生って一人暮らしじゃないの?」
き「今はそうだけど、一応実家なんだよ。両親と妹は確か、この星の反対側で旅をしながら仕事をしているんだったかな。何の仕事かはあたしもよく知らないけどさ」
の「妹さんが居るなんて私も初耳だよ! 名前は何ていうの?」
き「あれ・・・そう言や何たっけ・・・? 忘れちまったわ・・・」
ち「おいおい(汗)」
き「生まれてすぐ仕事の都合とかで家を空けなきゃならなかったとか・・・よく覚えてないや、あの頃はあたしもまだ小っさかったしな」
の「にしても、せっかく4人家族になったばかりなのに、先生独りにされるのも何だか酷だよね」
き「める姉の親の仕事はよく知らないから何とも言えないや。かと言って、める姉だけで仕事と赤ん坊の両立なんてどう考えたって無理があるだろ? だから一緒に連れてったんだと思う。ちょうどめる姉も教師になるのが決まった頃だったから、自立する意味でもちょうどいいタイミングだって聞いたような・・・らいむぎおばさんととうもろおじさん、元気してるかなぁ〜?」
の「全然知らなかった・・・と言う事は先生、家族のお迎えのために学校をお休みしたんだ」
ち「ホームルームでもちゃんと説明してくれなかったモンね」
き「“妖精に事情有り”ってヤツだろ、と言いつつペラペラ喋ってしまったあたしもあたしだけどな・・・と言うわけで、あまりこのことは公にしないこと、いいな」
こ「おクチ、チャック?」
き「二重にチャックだ」
こ「こはきゅのおクチは1こしかないよ」
ち「いや・・・そういう意味じゃなくて・・・」
の「妹さんも近いうちにこの学校に来るのかな・・・?」
き「だろうな、姉貴がここに居るから安心して通えるだろうし――あれから何年経ったかまでは覚えてないけど、多分こはきゅと同じくらいの年になってるんじゃないかな?」
こ「こはきゅとおなじ? ・・・おともだちになれるかなぁ・・・?」
き「ムリヤリにでもあたしたちのグループに引き込む!」
ち「ムリヤリて・・・」
キーンコーンカーンコーン――
ち「ん、もう自習終わりか?」
こ「あ、おそとみて!」
の「あ!」
ち「雪だ・・・それも結構降ってる・・・」
き「ゲ・・・マジかよ・・・これから春じゃなかったのかよ・・・せっかくこの後出かけようと思ったのに・・・!!」
の「きらら、アンケートはもういいの?」
き「知らん、こんなのテキトー!!」
(ガシガシ――!!)
の「ちょ、ちょっときらら!?」
き「ハイ、提出!!」
の「て、何で私ぃ??」
(ペラッ・・・)
の「・・・・・・」
ち「・・・・・・」
こ「なんてかいたの?」
の「・・・きらら、本気?」
き「知らん、もう帰る!撤収じゃ!」
ち「ククク・・・www」
こ「ねぇねぇ、こはきゅにもみせてぇぇ〜〜!」
ち「
教士、だってさ・・・! ククク・・・wwww」
こ「きょうし? じゃあめるてぃセンセといっしょだねっ」
の「あの子の教えっぷりがカンタンに浮かぶわ・・・」
※
き「うう〜〜寒い・・・この辺は滅多に雪なんて降らないはずなのになぁ・・・こはきゅは平気なん?」
こ「うん☆ このくらいならぜんぜんへ〜き☆」
き「一体どこで生活してたんだか想像付かねぇな・・・まさに“子供は風の子”ってヤツだな」
こ「うん? 何ぁに??」
き「うんにゃ、何でもない―――・・・」
こ「・・・? どうしたの?」
き「なぁこはきゅ、唐突だけど、ひとつ訊いてもいいか?」
こ「ん? なぁに?」
き「こはきゅって、いっつもその帽子かぶってるよな?」
こ「おぼうし? あ〜これね?」
き「学校でも外でもいっつも付けてるから気になっちゃって」
こ「このおぼうしはね、こはきゅのとってもたいせつなふぇありぃさんからもらったものなの。これがあるからこはきゅはこはきゅでいられるの」
き「たいせつな・・・?」
こ「そう。こはきゅのとってもたいせつなふぇありぃさんなの」
き「へぇ・・・こはきゅの周りにゃそんなヤツもいるんだ・・・あれ、花屋だけシャッターしまってる・・・ふらわさんトコ、今日は休業日かな?」
ふ「あら、こはきゅちゃんときららちゃんじゃない!」
こ「あ、ふらわおばさんだ〜、こんにちは〜(^ワ^*)」
き「どもっ」
ふ「今帰りかい?」
こき「はいっ☆/ええ」
ふ「こはきゅちゃん、どう? 学校はもう慣れたかい?」
こ「はいっ、まいにちとってもたのしいです☆」
ふ「そう、それはそれは♪ で、急でなんだけど、この後何か用事ある?」
こ「ようじ?」
ふ「そ♪ きららちゃんも一緒にどう?」
き「あ、はい、別に構わないですけど・・・って、そういや今日はもう店じまいスか?」
ふ「うん、今日はどうしても行きたいところがあってね、でも一人で出かけるのもちょっと寂しいかなぁ・・・と思ったところにアンタたちが通り掛ったから、声掛けてみた」
き「この雪なのに?」
ふ「そ、雪降ってるけど強行!」
き「分かりました、それじゃカバン置いてすぐまたこっちに来ます、行こ、こはきゅ!」
こ「はいっ!」
ふ「慌てないでいいからゆっくり支度しておいで!」
こ「はぁ〜いっ!!」
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