★だい7わ:のえるのほうせきだいありぃ★


つ「ハァ・・・ハァ・・・」
た「大丈夫か、つりばな!?」
つ「まだまだ・・・こ、こんなトコでくたばってたまるか・・・!」
た「あと少しだ! あと少しで目的地に着く! それまで耐えるんだ!」
つ「おうよ・・・!」
た「それにしても、ここまで道が荒れ果てているとはな・・・同じ妖精たちが住む星とは思えないほど腐敗してしまっている・・・いったい誰がこんなにしたというのだ・・・!」
つ「たちばな! 何か光っている・・・!」
た「む・・・! どうやら、着いたようだな」
つ「やっと出口か・・・!」




た「・・・・・・」
つ「な、なんだよ・・・ここ・・・!」
た「この星最大の大都市・・・“だった”場所だ」
つ「大都市だと・・・!? どっからどうみてもゴーストタウンじゃねぇか・・・」
た「・・・」
つ「なぁ、ほいすともここに来てるんだろ・・・? 通信出すぜ」
た「やめとけ」
つ「は・・・? 何でだよ・・・? 王様も言ってたろうが、3人で現地の調査をしろって――」
た「通信は完全に途絶えた」
つ「え・・・? ちょっと待て・・・・・・あれ、掛からない・・・どうなってんだ?」
た「・・・・・・」
つ「ヘンだな・・・電波はヤツの所にも届いてるはずなのに・・・」
た「・・・・・・」
つ「・・・・・・! ま、まさか・・・そんな・・・そんなことは無いよな? いくら何でも――」
た「覚悟はいいか、つりばな・・・これからが本当の地獄だ・・・」
つ「地獄って・・・おい、まさか・・・じょ、冗談だろ・・・?」
た「・・・・・・冗談と思うか?」
つ「お、オイオイ、俺たち、生きて帰って来れるんだよな・・・?」
た「・・・覚悟はいいな・・・!」
つ「な、何が起きるってんだ・・・!?」


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ガラガラ―――
こ「きょうもおはようございますっ」
の「おはよ〜こはきゅちゃんっ」
き「よ〜こはきゅっ、今日も上着ナシか〜、寒くないの?」
こ「うん、こはきゅはへ〜き♪」
の「きららでさえパーカー着てるのに、こはきゅちゃんはホントにタフだよねぇ」
き「まぁ、あたしはこれが気に入ってるから着てるようなモンだけどね」
の「そうそう、そう言えば昨日貰った日記、みんな書いた?」
き「あ、そうか、すっかり忘れてた・・・昨日は早く寝ちゃったからなぁ〜、こはきゅは?」
こ「こはきゅはちゃんとかいたよっ」
の「書いたあと、何か起きなかった?」
こ「え? ん〜ん、なにもおきなかったよ」
の「そうなんだ・・・」
き「何、のえる、何かあったのか?」
の「うん・・・」

ガラガラ―――
ち「おはよぉ」
こ「あ、ちゅにんくんだぁ♪ きょ〜もおはようございますっ」
ち「こはきゅはすっかりそのあいさつがお気に入りみたいだねぇ、ホイ、久々の新作だっ」
き「お、ちゅにんパティシエ登場か? 待ってました☆」
こ「ぱてしえ??」
の「パティシエ。お菓子作りのプロって意味よ」
こ「へぇ〜〜♪、ちゅにんクンって、おかしやさんなんだぁ〜」
き「ぷ、おかしやさん・・・だってさw」
ち「・・・・・・(全然違うけど、ちょっと嬉しい・・・)」
こ「?? どしたの、ちゅにんくん?」
ち「あ、あとでお昼ン時にみんなで食べようぜ」
こ「うん♪ 楽しみ〜♪」

キーンコーンカーンコーン―――
き「お、予鈴だ! 今日はあたしが日直だったんだ、お〜い、みんな席着けぇ〜!!」

ガラガラ――
め「はい、みなさん揃いましたか〜?」
全「はーい」
め「では今日の日直さん、お願いしますね」
き「あいよ〜ん♪、きりーつ!――きおつけ!――れい!!」
全「今日もおはようございますっ!」
め「さて、ちょっと早いですけど来月のスケジュールが出来上がりましたのでみなさんに配りますね」

き「うぉ、もう実習か!?」
こ「じっしゅ〜?」
ち「魔法実習。外に出て実際に魔法を使う授業だよ」
の「今月は結構実習多いね」
き「あたしとのえるは進級が掛かってるからかなぁ〜――ちょっとプレッシャー・・・」
こ「こはきゅは・・・――」
め「はい、みなさん回りましたね? ではプリントの前に、先生は今日の午後からちょっと職員の会議に参加しなくてはいけないので、学校には居ません。みなさんが居るうちに戻って来れないかも知れませんので、お昼休みのあとの授業は自習とします。他のクラスは普通に授業をしているので、騒いだりしないように、日直さん――は、きららちゃんね、先生の代わりに今日はリーダーをお任せします」
き「オッケー☆ 大声出したヤツはスリッパで百叩きっ」
め「ダメ!(`・ω・´)」
き「冗談だって☆」
め「うふふ♪はい、では今配ったプリントを見て下さい。来月からは魔法実習の授業が入ります。これは今後、みなさんの進級に掛かる項目も徐々に出てきます。もちろん、それぞれのレベルがありますので、それについては授業の中で追々説明していきます。実習授業は多いですけど、その分みなさんがじっくり覚えていけるように組んだスケジュールですので、そこは知っておいてくださいね。あと、これは全員知っているはずでしょうけどもう1回お伝えします。既に覚えている魔法も含めて、必要以外に魔法を使ってはいけません。くれぐれも自分で出来ることは魔法に頼らないこと。いいですね?」
全「はーい!」
こ「・・・・・・」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

め「(――じゃあ、もしこはきゅちゃんの近くで誰かが困った時、魔法が使えないこはきゅちゃんはどうするの?)」
こ「(・・・それは・・・・・・・・・)」
め「(――魔法はね、自分だけが満足して使うものじゃないの。誰かを助けてあげるために与えられた、神様からの贈り物なの)」
こ「(だれかをたすけてあげるため・・・)」
め「(そう、私たちが今こうして平和に暮らせる理由は、必要な時に魔法で助け合いながら、みんながなかよく穏やかに暮らせますようにって願いながら使っているの。こはきゅちゃんのように魔法を上手く使えない人を私が助けるようにね)」
こ「(わたしがたすける・・・?)」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

こ「・・・・・・うん! こはきゅ、がんばるっ」




き「さてさて、やっとこさお昼ごはんだぁねぇ♪」
ち「おつかれ日直さん、ホイっ」
き「おっと、そういや新作だったな」
ち「こはきゅものえるも、はい」
こ「ありがと〜ちゅにんくん♪」
の「サンキュっ」
き「この感触は・・・クッキーか?」
ち「う〜ん、惜しい」
こ「わぁ〜、おいしそうぉぉ♪」
き「開けるの早っ!」
の「・・・? クッキー・・・でもないし、ビスケット・・・じゃないよね? 何なの、これ?」
ち「マカロンだ」
き「まかろん?」
ち「そ、生地は“アマンドプートル”って言って、アーモンドを粉にしたヤツをクリームと混ぜて焼いたんだ」
き「へ〜アーモンドなんだぁ、これが」
こ「中のふわふわしたのもキレ〜♪」
ち「中のクリームはオイラのオリジナルで色々アレンジしてみた。緑のはこないだきららん家で作ったクローバーのソフトクリームをベースにしてみたんだ」
の「すごいねぇ〜ホント、お菓子に関してはもう何でもアリね」
ち「オイラも初めて作ったんだけど、割と巧く行ったほうだと思う。パンに付けるジャムでもいけるんじゃないかな」
こ「いっただきまぁす☆」
き「んじゃ、あたしも」
(モグモグ――)
こ「ん〜〜〜〜〜〜♪♪♪」
の「あ、美味しい♪」
き「いけるねぇ、甘すぎないのがまた」
ち「軽くお腹に入れたい時はこのサイズがいいかな〜と思って、今回は一口サイズ」
の「ねぇねぇ、今度作り方教えて!」
ち「いいよ、お安い御用っ」
き「あ、そだ、話変わるけどさ、のえる、さっきの日記のことなんだけど」
の「あ・・・うん、昨日寝る前に書いた後だったんだけど――」

******

の「―――よし、こんなモンかな?」
(パタン)
の「ではでは、消灯っと」
(カチャ カチャ カチャ――)

・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

の「・・・・・・?」

の「何か光ってる・・・? お月様・・・じゃないよね・・・?」

(モソモソ・・・・・・)
の「ん? 日記?」

(ガサッ)
の「――何これ・・・何・・・? この小さな光・・・」

******

き「日記が光っただって!?」
の「うん・・・」
き「ホントかよ?」
の「ホントなの!」
こ「すご〜い・・・」
の「で、その時は見なかったことにして寝て・・・で、朝起きてもう1回表紙を見たんだけど、やっぱり光ったままで・・・」
ち「オイラも昨日書いたけど、何も起きなかったぞ」
こ「こはきゅもおきなかった」
の「どうしても気になったから今日、持って来て見たんだけど・・・」
(サッ)
こ「あっ」
き「ホントだ! 裏表紙にオレンジっぽいのが・・・でもすっげぇ小さいなぁ、暗いトコに置いとくと分かりやすいかな?」
ち「宝石みたい」
こ「すごぉ〜い! キレイ・・・」
の「確かにキレイかも知れないけど、でも、今朝確認してからどんどん怖くなっちゃって・・・」
き「ほかのヤツらは日記の事は特に話してないもんな」
こ「ひかったのはのえるおねえちゃんだけ?」
き「・・・みたいだな」
の「先生に訊いてみようと思ったんだけど・・・」
こ「せんせ、たしかこのあとおでかけ・・・」
ち「会議とか言ってたよな」
の「うん・・・」
ち「でも、今のところ日記が光っているだけで他に変化は無いんだろ?」
の「うん・・・」
ち「だったらこの光、別に悪い光じゃないと思うんだ・・・それに、のえるしか反応しないとは限らないだろ。オイラたちもそのうち同じように光るかもしれないじゃん」
き「そうだよ、める姉が配ったノートなんだぜ、昨日言ってたろ、“書けば書くほどいいことが起きる魔法のノート”だって」
の「いいこと・・・」
き「あたしは昨日サボっちゃったから、今日は忘れないようにガシガシ書くぞ〜!!」
こ「こはきゅもきょうはクレヨンかってもらえるからおえかきにっきにする!」
ち「のえるは何でも気にしすぎだよ、もしイヤなことが起きたら、オイラたちがいつでも助けるからさ!」
き「そうだな、あたしたちが付いてるから何にも心配は無ぇ!」
こ「こはきゅものえるおねえちゃんをたすける!」
の「うん・・・みんな・・・ありがとう・・・」




母「そう、そんなことがあったの」
こ「うん、まほ〜のにっき☆」
母「こはきゅもたくさん書いて、いい事が起きるといいね」
こ「うん☆」
母「さて、そろそろお買い物に行きましょうか? このみ屋・・・のクレヨン、だったよね?」
こ「そ☆ きららおねえちゃんにおしえてもらったの♪」
母「それじゃ、行きましょうか」
こ「はぁい♪」


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