★だい3わ:こはきゅとめるてぃせんせい★


*「・・・!」
*「何か妙な波動が動いた気がしないか・・・?」
*「青の星か?」
*「いや・・・この星だ・・・ここからはかなり遠くからだが」

*「何だろう・・・ほんの一瞬だったが、今までに無い嫌な感じがしたな・・・」
*「おう・・・てか、今までこんな事ってあったか・・・?」
*「いや・・・・・・でもまさか・・・」
*「・・・何がなんだかさっぱり分からんや・・・!」
*「隊長に何か関係しているサインなのか、それとも・・・」
*「ったく、アイツが二つ返事で星の警備に入ったのはイイけどよぉ、いくら何でも情報が足りなすぎだっての」
*「――まて、通信だ」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
*「すぐに戻るようにとの事だ」
*「今の波動についてか?」
*「分からない、だが至急戻れとのことだ、行くぞ!」
*「おう・・・てか、アイツはまだ戻ってないぞ、置いてっていいのか?」
*「俺が適当に話をつけておく、さぁ、行こう!」


*:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*


こ「がっこだけは行きたくないの・・・!」
*「え、何、どうしたの?」
め「みんなは学校へ行きなさい」
***「・・・はぁ〜い」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
め「で、なぜ学校に行きたくないのかな? よかったら話してくれるかな?」
こ「・・・・・・」
め「さっきまであんなに元気だったこはきゅちゃんらしくないぞっ、ね♪ 私たちはもうお友達だもの、困った事なら何でも聞いてあげるわ、ね♪」
こ「・・・・・・」
め「――とりあえずこの先に小さい公園があるわ、そこへ行きましょっ」
こ「・・・・・・うん・・・・・・」

―――

め「ヨイショっと――さてそれじゃあ、こはきゅちゃんはなぜ学校に行きたくなくなったのか、聞かせて」
こ「・・・・・・だれにも言わないってやくそくしてくれる・・・?」
め「もちろん! 約束する」
(スッ・・・「小指を差し出す」)
め「うん?」
こ「・・・・・・やくそく」
め「(・・・これってまさか・・・!)うん、やくそく」
こめ「♪ゆびきりげんまん〜うそついたらはりせんぼんの〜ます、ゆびきったっ♪」

め「よし――それにしても、誰にも言えないくらいの事なの?」
こ「・・・・・・こはきゅがまえにすんでいたところは、ここみたいににぎやかじゃなかった・・・」
め「うん」
こ「さっきのおばちゃんやおじいちゃんみたいにこえをかけてくれるようせいなんてだれもいない、さみしい村だったの」
め「あんまり妖精は住んでいなかったの?」
こ「ううん、そうじゃないの・・・なんか、おたがいにことばをかわそうとはしないの・・・とってもしずかだった・・・」
め「そう・・・でも、昨日もさっきも、こはきゅちゃんはすっごく元気だったわよね?」
こ「・・・・・・ほんとうはすごくゲンキなふりをしてた・・・おかあさんにもないしょにしてた」
め「お母さんにも?」
こ「それだけじゃないの・・・ここではおかあさんしかしらないことも、こはきゅは・・・ほんとうはしっているの」
め「うん、でもその前に、学校のことからおはなししてくれるかな?」
こ「――まえのがっこは、いじめっ子がおおかったの・・・みんなの目がとってもつめたかった・・・」
め「・・・・・・うん」
こ「こはきゅは、まほうをうまくつかえなかったの・・・みんなみたいにじょうずにつかえなくて、それで、さいしょはみんなにからかわれてた・・・」
め「・・・・・・」
こ「そのうちにどんどんひどくなっていって、なぐられたりけられたりするようになっていったの・・・」
め「・・・・・・うん」
こ「せんせいやおかあさんにもそうだんしようと思った・・・でもいえなかった・・・」
め「・・・どうして?」
こ「・・・・・・こわかったの・・・みんな、“つげぐちしたらどうなるかわかってるだろうな・・・!”って、まほうでこはきゅをきずつけようとしておどかすの・・・」
め「え・・・!?」
こ「あれはじょうだんのかおじゃなかった・・・ようせいの目じゃないみたいだった・・・アクマみたいでこわかった・・・」
め「そんな・・・・・・・・・そう・・・」
こ「でも、こはきゅはとてもたえられなくて・・・こわかったけど、おもいきっておかあさんにそうだんしたの」
め「・・・・・・」
こ「おかあさん、ないてた・・・“娘までこんな残酷な目に遭わなくちゃいけないの・・・?”って」
め「(娘まで・・・?)――それで、ここに引っ越す事になったのね・・・」
こ「おかあさんががっこに言ってくれて、それでここにくることができて・・・こはきゅ、もうがっこにいかなくてもいいのかとおもってすごくうれしかった・・・ねぇ、こはきゅはまたがっこにいかなくちゃいけないの・・・?」
め「・・・なるほどね、そういうことか・・・」
こ「・・・・・・」
め「ありがとう、こはきゅちゃん・・・よく話してくれたわ」
こ「・・・・・・」

め「結論から話すとね・・・・・・学校はちゃんと行かないとダメ」
こ「・・・・・・そんなっ・・・!」
め「でも大丈夫、ここの学校は今度こそそんないじめっ子なんて居ない所だから、こはきゅちゃんも安心して魔法を覚えられるわ」
こ「・・・こはきゅ、まほうなんかつかえなくてもいい・・・」
め「ダメ」
こ「どうして・・・? だって、ふだんからまほうなんてつかわないでしょ・・・? まほうはひつようなときいがいはつかっちゃいけないって・・・!」
め「・・・と、思うでしょう」
こ「え・・・?」
め「じゃあ、もしこはきゅちゃんの近くで誰かが困った時、魔法が使えないこはきゅちゃんはどうするの?」
こ「・・・それは・・・・・・・・・」
め「――魔法はね、自分だけが満足して使うものじゃないの。誰かを助けてあげるために与えられた、神様からの贈り物なの」
こ「だれかをたすけてあげるため・・・」
め「そう、私たちが今こうして平和に暮らせる理由は、必要な時に魔法で助け合いながら、みんながなかよく穏やかに暮らせますようにって願いながら使っているの。こはきゅちゃんのように魔法を上手く使えない人を私が助けるようにね」
こ「わたしがたすける・・・?」

め「うふふ♪ 隠す必要が無いから先に話してあげる。これからは、私がこはきゅちゃんの先生よ」
こ「せんせい・・・?」
め「そ♪ 私はこの学校の先生なの♪」
こ「めるてぃ・・・せんせい・・・」
め「――こはきゅちゃんがきちんと話してくれたから、今度は私が話すわ」
こ「?」
め「と言うか、こはきゅちゃんに謝らなくちゃ・・・だね。ごめんなさい」
こ「えと・・・その・・・え?」
め「実は私、こはきゅちゃんたちのことをまったく知らないフリをしていたの――本当はね、こはきゅちゃんがここに引っ越してきた理由も、お母さんの事も全部知っているの」
こ「え・・・?」
め「おじさま・・・さくらおじさんから全て事情を聞いたの。教師である私の力が必要だって」
こ「・・・・・・」
め「こはきゅちゃんのように困っている妖精は、過去に何人も居たわ。中には今のこはきゅちゃんのようにちゃんと訳を話せなくて大変な時もあった」
こ「こはきゅだけじゃない・・・?」
め「うん・・・私はそんな子たちを放って置けなくて・・・私もどちらかというと器用な方じゃないから、もしかしたら色々迷惑を掛けちゃったかも知れないけど・・・でも、その子たちが今も元気に学校に通ってくれてるから私は安心したし、教師としてひとつの自信に繋がったわ」
こ「めるてぃおねえちゃ・・・せんせい」
め「実はね、この学校はそんなこはきゅちゃんのように、過去に辛い悩みを抱えた子たちだけが通える特別な学校なの。だからもう、何も隠さないで、悩まないで、元気なこはきゅちゃんで居て」
こ「(グスッ)・・・・・・はい・・・!」
め「もしまた困った事があったら、迷わないで私にいつでも相談して、ね♪」
こ「・・・・・・はい!」
(キーンコーンカーンコーン―――)
め「うん♪・・・・・・さてもうお昼の時間、おなか空いちゃったわね」
こ「・・・おなかすいちゃった」
め「おかあさんも連れて、3人で何か食べに行きましょうか」
こ「はい♪」


← だい2わ   だい4わ →