★だい2わ:こはきゅとあたらしいむら★


 あの頃は子供ながらに、その時が何もかもイヤになっていた。
町の人たちは結構いい人は居たのだけれど、当時通っていた学校だけは世界が違っていた。友達どころか、周りはいじめっ子ばかりだった。・・・いや、いじめとかそんな可愛げあるフレーズで片付くレベルじゃない。なぜなら、私はその子達によって1度命を落としかけもしたからだ。

*「何をのこのことまたこんなトコ来てんだよっ!!」
*「テメェみてぇな落ちこぼれはここに来る資格なんてネェんだよっ!」
「やめて!!」
*「ヘヘ、テメェの味方なんか誰も居ねぇよ!」

 いつものように影で悪い言葉の応酬。それが当たり前の日々。暴力や魔法で力の差を知らしめようとする男の子もいた。傷が見えないように、わざわざ胸や腹を狙ってまで攻撃してくる策士も。
 きっかけなんてない。。。と言えば嘘になるが、でも私が何をしたのでもない。ほんの少し、他の子よりも体の成長が早かったこと。あとは魔力が他の子よりも弱かった。それだけだった。
 両親にも相談した。そしてお母さんは学校にも相談してくれた。けれど学校は「そんなバカな話は有り得ない」「過去にそんな例は聞いたことすらない」の一点張りで誰一人掛け合ってくれる人も、話をきちんと聞いてくれる人すら居なかった。
 それが数ヶ月、1年と続き、ついに事件が起こった。

*「お、おい・・・動かなくなっちまったぞ・・・!」
*「起きろよ、コラ!!」
「・・・・・・・・・」
*「に・・・逃げろ!!」

――日に日にエスカレートしていく暴力を受け続けた私は、ついには意識が飛んでしまう程へ・・・

 その事件は、当事者からクラスへ。最初は「そんなバカな!?」と言った声が圧倒的に多かったのだが、全身痣だらけになって病院に運ばれた私の容態が何より物語っていた。
 クラスから学校へ。学校から国へ。更には国から星全体を挙げての大問題へと拡がり、やがて“妖精大汚点[ピクシー]”と言うコードネームとして吊し上げられた。無論、私の名前は伏せてもらったのだけど。でなければ、一生私はその当事者として付いて回るからだ。

 私は一命を取り留めた。

 しかし医者にはこうも告げられた。

「もしかしたら、子供を産めなくなってしまったのかも知れません」と。




被害者である私が、なぜ引き摺らなければならないのだろう。ただ“普通の毎日”を過ごしたかっただけなのに。

この時私は「憎悪」と「逆境」という魔法を覚えた。

 後に、「言葉の暴力、暴行、魔法の悪用をした者は、魔力を生涯完全に封じられてしまうと言う処分が科せられる」掟が正式に出来た。今回の事件に関わった生徒や職員の多くもその処分を受けた。当時としては異例の処遇だったと言う。だが私からすれば、大きな代償を被ってしまうきっかけを与えた彼らの所業を、処分だの処遇だの受けようが決して許すわけがなかった。
 妖精にとって魔力を失うということは、手足を無くしてしまうのと同じくらい重い罰だ。またそれを受けて、新たに「お仕事や、家事、学校の授業以外の、必要無いときの使用も制限される」ことになった。

 2年後、私は学校を卒業した。私にとっても学校にとっても、あまりに後味の悪い最後の卒業生として。



 ――学校は、私の代を最後に廃校した。


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(チュンチュン・・・)
こ「ん・・・・・・」
(チュンチュン・・・)
こ「おはよぉ〜ことりさん・・・・・・」


こ「おはよ〜ございますぅ・・・」
母「おはよう、こはきゅ――あら、まだ眠そうね、今日は少し朝寝坊よ」
こ「うん・・・ヘンなゆめを見たのぉ・・・」
母「あら、どんな?」
こ「んっとねぇ・・・おねぇさんがなにかむずかしいことをはなしてた・・・すごくかなしそうに・・・で、そのあと・・・」
母「その後?」
こ「・・・・・・・・・ん〜ん、なんでもないっ」
母「ん〜なぁにそれ? ウフフ・・・顔洗ってらっしゃい、朝ごはんの支度が出来てるわ」
こ「はぁ〜い」


こ「いただきまぁ〜す♫」
母「いただきます」
(モグモグ・・・)
こ「ん〜〜〜〜〜〜〜〜!!(* ゜v ゜*)」
母「あら、おいしい♡」
こ「すっごくおいしい〜〜〜♡(モグモグ・・・)」
母「お店でもこんなにおいしいのはなかなか手に入らないわよねぇ〜――今度レシピでも訊いておこうかしら?」
こ「(ゴクゴク・・・)プハ〜しあわせ〜*^□^*」
母「あ、そういえばこはきゅ、今日はめるてぃちゃんとお出掛けなのよね?」
こ「うん、この村をあんないしてもらうんだぁ」
母「気を付けて行くのよ・・・あ、そうそう」
こ「うん?」

母「ハイ、これ。めるてぃちゃんに渡してあげてね」
こ「なぁに、これ?」
母「昨日たくさんパンを頂いた上に、引越しの荷物まで運んで貰っちゃったでしょ? だからそのお礼.忘れずに渡してね」
こ「はぁ――い☆」


こ「それじゃ、いってきま〜す☆」
母「いってらっしゃい」

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(ピンポーン♫・・・ガチャ)
こ「わっ!」
め「おはよ、こはきゅちゃん♡待ってたわ」
こ「おはよぉございますっ」
め「さっそく行きましょうか」
こ「うん☆――あ、その前にね」
め「?」
こ「これ、おかあさんがね、きのうのおかえしにって」
め「わぁ、わざわざありがとう、こはきゅちゃん(・・・手紙が入っている)」
(ガサガサ・・・)
め「(・・・・・・)うん、アリガト☆おかあさんにも宜しく伝えといてね」
こ「はい♪」
め「ウフフ♪さぁ、行きましょう」

め「一応、ここは“村”と言う事になっているんだけど、その辺の町よりもずっと華やかに栄えているのよ」
こ「ホントだねっ!こはきゅがまえにいたところよりキレイだしにぎやかっ!」
*「あらあら、今日は随分早いのねぇ?」
め「あ、おはようございます―!」
*「おやおや、この子は?」
め「あ、はい.昨日お隣に越してきた子です――こはきゅちゃん」
こ「はじめまして、こはきゅとい―ますっ!よろしくおねがいしますっ!」
*「あらあらご丁寧にどうも、アタシは ふらわ.よろしくね♪ あそこのお花屋さんにいるからさ、今度遊びにおいでっ!」
こ「おはなやさんっ!? わぁ♡ぜったい行くね♡」
*「ウフフ、元気な子だね♪ それじゃね」
こ「バイバ〜〜イ♪」

こ「スゴイね、ここはなんでもあるんだね」
め「そうね〜、この辺なら大概のものは歩きで十分手に入るかもね」
こ「ふ〜ん・・・こはきゅがまえにすんでいたところはね、ウンとたくさんあるかないとかいにいけなかったなぁ」
め「そうなの?」
こ「うん、あさはやく出かけてもね、かえりはいっつもお日さまがサヨナラのじかんなの」
め「え・・・そんなに・・・!?」
*「お〜めるてぃちゃん、おはよ〜」
め「おはようございます、しもんさん」
し「お、その子かね?隣に引っ越してきたのは?」
め「はい」
こ「おはよ―ございます、おじいちゃん♪」
し「お―おはようお嬢ちゃん、わしはめるてぃちゃん家の右隣に住んどる、しもんじゃ」
こ「こはきゅとい―ます、よろしくおねがいします、しもんおじ〜ちゃん♡」
し「ホッホッホ、めんこいのう〜めんこいのう〜^^」
こ「えへへ〜♪」
し「ま、見ての通りどっからみてもオジジじゃが、よろしくの」
こ「はい♡」
め「ウフフ☆」

こ「あ、あれはもしかして・・・」
め「みんな学校へ向かってるわね・・・」
こ「・・・・・・」
め「こはきゅちゃん・・・?」
***「めるてぃせんせ〜〜〜〜〜!!!(ひとりだけ「め〜る姉ぇ〜!!!」)」
こめ「?」
*「せんせ〜今日は学校行かないの〜?」
こ「がっこ・・・!」
*「あれ、この子は確か・・・」
*「かわいい〜♡ 先生の妹?」
*「お、早くもちゅにんクンのおめがねにかなった〜?」
ち「・・・・・・かも♡」
こ「がっこ・・・行きたくない・・・!」
*「え?」
こ「がっこは行きたくない・・・!」


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