初夏を想わす太陽の陽射しを避ける様に、風に揺れるレースカーテンの向こう。
『ケモノ』の口付けを交わした、あの日。
前触れも何も無く、突然の口付けに『息苦しさ』と『朦朧』とする頭、悲鳴を上げるワタシの『肺』
そう告げた口唇が、ワタシの『言葉』をキスという形で『封』じ『犯』した。
恋しさと切なさと、愛しさと遣り切れなさと…────
私にとって『月日』も『時間』も問題じゃなかった。『関係』無い事を知らされた。
こんな『想イ』が有るのだと、身を持って実感させられた。
『心』が向いてない事も『恋愛』じゃ無い事も、知りながらも魅了され、病まない『鼓動』
『出口』なんて無いのに『出口』を探し求め、自己を見失い『奈落』へと『堕』ちたワタシ。
それを知りながらも、止められず『甘んじて』重ねた『躯』
唯、口付けが必要以上に『優しく』て『ケモノ』の様に狂おうしく…そう感じた『心』
『初め』なんて何処にも『無い』のだから必然的に『終わり』なんて『存在』すらしない────
『君』が突然した最初のキスは仄かに"桃の天然水"の甘い香りと味がした。
虫たちが奏でる『音色』に涼しい『風』が肌を通り過ぎてゆく、『明け方』に程近い夜の『闇』の中。
規則正しく繰り返される寝息を無視し、その口に小さく口唇を重ねた『数秒』
『最後』のキスは『苦味』の残る煙草の味がした────
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