★だい39わ:そつぎょう★


第18回 卒業式式辞

夢と希望に満ち溢れた象徴であるような、この春のよき日に、
多数ご来賓の皆様ご臨席のもと、
第18回卒業式を挙行できますことは、卒業生はもちろん、
私たち教職員に取りましても大きな喜びでございます―――・・・



め「では改めまして、『きらら』さん、『のえる』さん、卒業おめでとう!」
ら「そしてふたりとも中等部進学試験合格おめでと〜♪、楽勝だったわねっ」
の「あ、ありがとうございます!」
き「今さらだけど、何か気恥ずかしいなぁ」
ふ「きららちゃんは終始カチンコチンだったけどね☆」
の「ふらわさん!、来てくれたんですね!」
ふ「モチロンよ、アンタたちの晴れ姿を見ないわけにはいかないからね〜」
き「ん?、ちょっとそれはまさか・・・!」
ふ「この日のために買ったのよ、超高画質ムービー♪」
の「え、ひょっとして、今日の全部撮ったんですか・・・?」
ふ「余すところなくね!」
き「うわうっそ、消してくれぇぇぇぇ〜〜 (*-"△"-)ノノ」
ふ「な〜に言ってんの!、こういう一コマ一コマをちゃんと思い出として残しておかなくちゃ!、記念よ、記念」
も「きららちゃん、のえるちゃん、卒業おめでとう!」
き「おじさんも来てくれたんだ!」
も「ボクは途中からだけどね、間に合ってよかったよ」
の「ありがとうございます!」
き「あ〜・・・でも映像はあんま観てほしくないかなぁ〜・・・なぁんて。。。」
も「ん?、きららちゃんの衣装とってもよく似合ってるよ?」
き「あ・・・アンガトございます・・・///」
も「さて、盛り上がってるところちょっと水を差すようで申しわけないですが――これでキミたち卒業生はこれからは中等部生として、心も体も大人の階段を上ることになります」
きの「コク――・・・」
も「ボクの特訓は想像以上に厳しいものと思って、覚悟するように!」
の「は、はい!」
き「望むところだ!、トコトンやってやる!」
も「と、それはひとまず置いといて――、実は卒業生のキミたちを知る妖精たちから、いくつかメッセージを預かっています、それでもしよかったら、それを用意してるのでこれからボクのお家に来てぜひ見てほしいのだけれど、予定とかは大丈夫?」
き「アタシは平気!、だってここにいるおばあちゃんだけだもん!」
婆「行っといで、迷惑かけないようにね」
の「私も夕方までなら大丈夫です」
も「結構!、もしよろしければ、今日お越しの保護者の皆さんもぜひ、見ていってください」
め「私はこの後の仕事があるからみんなでいってらっしゃい!・・・にしても、ウチそんな広くないけどこんな沢山入れるの?」
も「工房のほうを使う」
め「あー、だったら問題ないわね」
き「工房?、なんだそれ?」
め「お父さんの仕事場みたいなものよ、でもあそこはみんな留守の時も一切手を付けてなかったからかなり汚れてるでしょ?、ちゃんと掃除したの?」
も「それなら心配ない、さくらさんも手伝ってくれた」
め「んな・・・!、まさか村を出るのを止めた原因って、これのため・・・!?」
も「違う違う、彼が率先して手伝ってくれたんだ、ホントだよ?――それに、彼とは歳は近いが将来ボクの息子になるかも知れないだろ?、今のうちにコミュニケーションは取ったほうが彼にとってもめるにとってもいいことだろう?」
め「////////////・・・・・・」
も「さぁさ、こちらですよ!」

*****

さ「おぅ、来たか卒業生!」
の「さくらさん!」
き「会場にいないと思ったらアンタここで何してんのさ?」
さ「誰かと思ったらきららか、さすがに今日はちゃんと女の子してんじゃん」
き「ムッキ〜〜!、いちいちイラっとする〜〜!」
の「どーどー・・・」
さ「もうすぐ中等生なんだろ?、これからは普段からも少しおしゃれしとけ、せっかくかわいいんだからよ」
き「え?、か、かわ・・・?」
も「さくらくんゴメンね、何もかもお任せにしちゃって」
さ「気にすんな、もう準備は出来てる」
も「さぁ、中へどうぞ」

―――――

き「うわっ、何これメチャクチャ広っ!」
の「これがご主人の仕事場・・・」
も「スクリーンは大丈夫だと思うんだけど、機材とか壊れてなかったかなぁ?」
さ「さすがに機材は長い間ホコリかぶりすぎててダメだった、ウチで使ってないヤツあったからそれに全部入れ替えた」
も「自前の?」
さ「あぁ、どうせ家に置いても使わないしジャマなだけだからアンタにあげるよ――、さて、じゃあさっそく映像出すぞ、照明落としてくれ」

フ――――――・・・


****


第18回 星際機関初等部 最上級生諸君、卒業おめでとう!
1年生から共に勉強してきた仲間と一緒に卒業ができて、
嬉しさもひとしおのことだと思います。
先生方も、ご家族の皆さんも、
皆さんの卒業を誰よりも待ち望んでいたことでしょう。
そして無事本日の卒業式を迎えられ、さぞかしお喜びのことでしょう。

皆さんは初等部で周りの人達への感謝の気持ちや、
何事も諦めずに努力することの大切さなどを学んだはずです。
そのことを中等部に行っても忘れずに、しっかりと頑張ってください。

ひとりの妖精として立派な中等生になっていただくことを願い、
挨拶にかえさせていただきます。
本日はおめでとう御座います。



****



き「・・・?、誰だ、このオッチャン?」
さ「とらんぷたうん国王だ」
き「い・・・!?、こ、国王ぉ・・・!」
の「スゴイ、国王様直々のメッセージ!」
さ「いや、普段はこんなことしないらしいが、今回は”特別”なんだそうだ」
き「特別?」


****


みなさんこんにちは、その説は娘が大変お世話になりました――


き「こはママじゃん!」
も「ほぉ!よく撮影の許可できましたね?」
ふ「当然乗り気じゃなかったろうけれど、『直接じゃなくてもいいからせめてみんなに伝えるお礼くらいは言いな!』って説得して、ね」

本当は皆様の前でちゃんと言葉にしなくてはいけないこと・・・分かっています。
病気のことも、こはきゅが今置かれてる状況も既にご存知とのことで――
子供たちを連れてった方については言えませんが、
ふたりはいつか必ずこの村に帰ってくることはお約束します・・・!

それと・・・これもこの場を借りて―――
さくらさんには特に感謝しています、
あの時私とこはきゅを真っ先に救って下さったこと・・・
本当ならとっくにこの世にいないはずだった
私たち親子を今日まで生かしてくださり、
あまつさえ住む場所まで提供してくださり、
その御恩は1日たりとも忘れたことはございません――

これももうご存知とのことで、
私の魔力はすでにこはきゅとちゅにんくん?でしたか?
ふたりに受け渡しており、今の私は正直なところ、
何をもって皆さまにお返しすべきか分かりません――
――いつか、こはきゅがこの村に帰ってきて、
私の病気が治ったときには――・・・うぅぅ。。。


さ「・・・まずはお前がゲンキになること第一に考えろ・・・、それからでも遅くないさ」

きららちゃん、のえるちゃん、卒業おめでとうございます、
それとこはきゅといつも仲良くしてくれてありがとう。
こはきゅからはいつもあなたたちのお話で持ち切りだったんですよ?
直接お話したことはあまり無かったでしょうけど、
向こうに居た時とは比べ物にならないくらい、
生き生きしたこはきゅの表情を見れたのは
何よりあなたたちのおかげです、感謝してます――ありがとう・・・!


き「///・・・うん・・・!」
の「グスッ――・・・」
ふ「(・・・強引に交渉した甲斐があったわね・・・!)」


****


――ワシじゃ!、初等部卒業おめでとさん!


の「しもんさん!!」
き「ウソだろ・・・?」
ふ「(ムービーを買った最大の理由は、これのためさ・・・)」

ワシがゲンキなうちにこれを残さなきゃならんと思ってな、
こういうガラじゃあないんだが今日は特別じゃぞ!
もっとも、これを観ているころ、ワシ自身どうなっとるかは到底分らん。
恥ずかしいからってコソコソ隠れて見てるかもしれんし、
それともとっくに居ないのかもしれんし、
まぁそんなのはどうでもよいわい!


き「どうでもよくなんかネェよぉ・・・!」
の「うぅぅ・・・しもんさぁん・・・」

ま、ワシから言うことはほんのちょっとじゃ!

中等部に上がるからって世界が180度ひっくり返るわけじゃない、
あんまり肩肘張らずに堂々とせぃ!

それでも苦悩することはこれからも山ほど出てくるじゃろう。
自分でどうしようもないと思ったら遠慮せずに友達でもいい、
ワシら大人でもいい、何でも話せ!
あ、そこにいるかの?、きざくら社長のさくら以外はな!
アイツはチャランポランじゃから余計こじれる!


さ「うっせぇよジジイ・・・w」

最後に!
あとはこれまで通り、
よく食べ、よく寝て、よく学び、よく遊べ!
以上じゃ!


*「貴重な映像になりましたね・・・」
*「ここにいるみんな、しもんさんにお世話になりましたものね――グスッ・・・」
き「・・・ありがとう、しもんじいちゃん――アタシ、がんばるよ!」

―――――――

き「何か一気に気が抜けちゃったよ・・・」
の「私も・・・サプライズすぎて今どんな表情したらいいか分かんないよぉ・・・」
き「ふらわさんに撮影してもらってよかったよ」
の「今度、編集してダビングもしてくれるって」
き「ホントか!それは楽しみだ!」
の「――もう1年かぁ・・・」
き「1年?」
の「こはきゅちゃんと初めて会ってからよ」
き「そんなになるか・・・アイツら、今頃どうしてんだろうな・・・」
の「きっとどこかでゲンキに暮らしてるわ、おーおー!って言いながら」
き「なぁのえる」
の「ん?」
き「免許って、中等部3年になったら取れるんだったよな?」
の「突然どうしたの?――課せられた単位をキッチリ取れたら、だけどね」
き「小型の2輪さえ手に入れれば、空を飛ぶよりウンと魔力を節約できる――、高等部になったらバイトして2輪も買う!、でもってこはきゅたちに会いに行く!」
の「――!、それ、いいね!、うん、私も免許取ろうかなぁ・・・」
き「一緒に取ろうぜ!、でもって2輪も一緒に買いに行く!」
の「それでも3年掛かっちゃうね」
き「勉強もしてもろこしさんにミッチリ鍛えてもらって、ウンと強くなる・・・!」
の「気が早いかもだけど、でも、いい目標だわ――!」
き「ヘヘ、やってやろうぜ!」
の「うんっ!」



悪いやつって、どうしていなくならないのかなぁ?
結局は自分に返ってくると分かっているはずなのに。

「自分は特別」とでもいいたげなのか?
普通の暮らしがいちばんだぜ!

そうだろ、こはきゅ?

普通のごはんでもいいから、
たまにはおなか一杯食べられる。
そんな程々がいちばんだぜ!

そうだろ、ちゅにん?


早くお前たちに会いたいよ。

また並んで一緒に歩きたいよ。
この少しだけ柔らかい土の香りがする砂利道を。



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